青い海と青い空が待ち遠しい今の時期、開業するならやはり青色申告で。

梅雨の晴れ間、湘南の海。

別に今の季節だから青色申告にするってわけではない。季節にかかわらず、青色申告にしない手はない。

今日から7月。今日から下半期。年始や4月のように、新しくなにかを始めるのに適した節目の時期。今から個人事業主・フリーランスとして開業しようとしている人も多いことでしょう。

個人事業主として開業することを決めたならば、事業専用の銀行口座とクレジットカードを持つことを先日アップしました。もちろん、開業届の税務署への提出も忘れずに。

そしてここが肝心なのですが、開業届と一緒に所得税の青色申告承認申請書も提出しましょう。

以下、詳細な条件については触れずに書きますが、

青色申告承認申請書を提出すると、税務署から却下などの通知が無い限りは青色申告が認められることとなります。青色申告承認申請書を提出しなければ白色申告になるのですが、白色申告に比べると、青色申告はいくつかの節税メリットがあります。

その最たるものといえるのが「青色申告特別控除」です。白色申告にはもちろんないものですが、これは、お金の支出なくして所得(=売上-経費)から差し引ける(控除できる)というものです。

売上から引ける「経費」は、それに見合うお金の支出があります。青色申告特別控除はこれに見合うお金の支出が無いにもかかわらず、青色申告で次に述べる条件を充たせば、所得から差し引けるという優れものです。

最大65万円の青色申告特別控除を受ける条件(個人事業主であることを前提にざっくり説明)

① 事業所得を生ずべき事業を営んでいること

個人事業主であれば、この点はまず問題ないことが多いので、説明は割愛します。

② 取引を、複式簿記で記録すること(実務上、会計ソフトの利用が必須)

複式簿記を学んだことのない方にとって、この点はハードルに感じられるのではないでしょうか。しかし、複式簿記の記録は会計ソフトを使えば、慣れるためのトレーニング的時間は必要ですが、慣れれば簡単です。

むしろ、会計ソフトを使わないと、かなり面倒な上、工数がかかるので、現実的には会計ソフトをつかわざるを得ません。会計ソフトを使いましょう。

③ 会計ソフトで作成される「貸借対照表」と「損益計算書」(青色申告決算書)を確定申告書と一緒に提出すること

貸借対照表を確定申告書に添付する、というところが非常に重要です。貸借対照表が無い場合、青色申告特別控除の上限額は10万円となってしまいます。

貸借対照表とは決算日時点の財政状態を表現する表で、左側と右側に分かれており、

  • 左側に資産(資金の運用形態といわれます)
  • 右側に負債と純資産(資金の拠出元。資金の調達源泉といわれます)

が記録されます。左側と右側の各合計金額が必ず一致します。会計ソフト無しで作るのは非常に大変です。

④ ③の提出を、申告期限内にすること

申告期限内に税務署に提出する、というところが非常に重要です。申告期限を過ぎて税務署に提出してしまうと、青色申告特別控除の上限額は10万円になってしまいます。お金を守るためにも申告期限は必ず守りましょう

以上の①~④までの条件を全て充足して、青色申告特別控除額は最大55万円となります。

昨年分(2019(令和元)年分)までの確定申告であれば、ここまで充たせば最大65万円の特別控除を受けられましたが、今年分(2020(令和2)年分)からは、さらにひとつ条件が追加されました。

⑤ ③の提出を、e-Tax、つまり電子申告で行うこと

電子申告で行うことがポイントです。

①~⑤まで充たしてはじめて最大65万円の控除がうけられることになりました。

なお、電子申告によることの代替となる条件として「電子帳簿保存」を行うことという条件がありますが、ここでは省略します。

ITを使いこなし節税メリットを最大化。5つの条件は仕事力のトレーニング。

電子申告も、ITを使いこなす一環で、使いこなせるようになるのが一番です。はじめてのときはトレーニング、OJTの感覚で。回を重ねるごとに慣れていきます。

今年はコロナ禍で、テレワーク普及に代表されるITの浸透が一気に進みました。この流れは止まりませんし、後戻りできません。流れに乗りましょう。

65万円の特別控除を満額受けられたとして、税率が10%なら65,000円の節税、税率が20%なら130,000円の節税を実現できます。経費という支出なくしてこれだけのお金を守ることができる青色申告特別控除、使わない手はないと考えます。

また、5つの条件を充たす過程で、締め切りまでに仕事を終えるという仕事力を鍛えられ、会計ソフトを使いこなしながら貸借対照表も読めるということで経営数値に強くなれます

5つの条件をハードルではなく、仕事力、経営のトレーニングととらえれば、メリット盛りだくさんといえます。青色申告にしない手はありません。

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