簿記を意識しないで貸借対照表をつくる〜家計でこそやってみよう

損益計算書や収支は読めても、貸借対照表はいまいち読めていない

会社や個人事業を経営していれば、損益計算書は必然的に読めるようになりますし(読まないでいたら赤字になっても気がつかない!)、資金の収支はいやでも読まなかければ経営できません。

一方、貸借対照表となると「?」という方もいるでしょうし、損益計算書や資金の収支のように目を凝らして注意深く読まない方もいらっしゃると思われます。

貸借対照表は、決算日時点での財政状態、すなわち、資産(財産)と負債(借入金などマイナスの財産)プラス純資産のバランスと内訳をあらわすとされていますが、決算日に限らず「今」の時点での財政状態をあらわすものでもあります。今、財政状態がどうなっているかも、経営上、常に意識して行く必要があります。

企業会計の世界には、資産を時価で評価するという原則もあります。時価とはすなわち、株式市場で算定される株価などの「公正な評価額」です。また、設備投資に支出した金額を回収できるかどうか、回収できるとすればいくらまで回収できるかを示す「投下資本の回収可能額」もあります。有形固定資産(設備投資)の、事業での使用による回収可能額を超える投資額は、減損処理(損失処理)するという減損会計が典型的です。

このように、貸借対照表に載っている資産の内容を吟味し、事業での使用や、売却によってどのくらいまで現金として回収できるか、資産の「運用」の行く末を見て行くのが貸借対照表の経営への活用です。

簿記を意識しなくても貸借対照表はできる

ところで、貸借対照表は、複式簿記での記録を継続することによって作成していくものですが、複式簿記に寄らなくとも、現物からアプローチすることによって、大まかな貸借対照表のイメージを作ることはできます(あくまでもイメージ作りのためであり、これを税務申告や決算報告には使えません。税務申告や決算報告には複式簿記による記録が必要です)。

現物からのアプローチは

  1. 現金、預金、株式や債券などの有価証券、棚卸資産、設備投資などによる固定資産など財産をもれなく把握し、金額も調べて、集計する
  2. 借入金や買掛金、未払金など、将来支払わなければならない金額をもれなく調べて集計する
  3. 上記1と2の差額を求めることにより、純資産を計算する

という、3つのステップでできます。

手間がかかるのは、

  • もれなく把握すること
  • それぞれの資産の金額を算定すること

です。現金は手元の現金を数えれば良いし、預金は銀行で通帳に記帳したり残高証明書を取得すれば良いし、株式や債券はその日の終値を調べて手持ちの数量を乗じれば金額を算定できます。棚卸資産や固定資産は、取得した時の金額を調べて算定しますが、取得した時の金額を超える金額で売れなそうであれば、その日の時価(売れそうな金額)を見積もっておく必要があります。不動産は、厳密には不動産鑑定評価をとりますが、通常はそこまでコストのかかることはせず、固定資産税評価額で算定すれば良いと思います(決算報告のためではなく、あくまでイメージ作りだからです)。

借入金は返済予定表で、買掛金や未払金は、未払いの請求書を集計して算定できます。

まとめると

資産(財産)の合計ー負債の合計=純資産

となります。

家計でも貸借対照表を意識しよう

さて、このイメージ作りは、企業よりもむしろ、家計で使ってみることをお勧めします。

  1. 財産をもれなく把握して、金額をつける。現金預金、有価証券、自家用車、不動産、その他売却できそうなモノ(腕時計、ブランド物のバッグやアクセサリーなど)
  2. 負債をもれなく把握して、金額をつける。住宅ローン、自動車ローンや教育ローンの残高、クレジットカードの未払残高、割賦代金の残高など
  3. 1から2を差し引いて、純資産(純財産)を算定します。

おわりに

家計でも貸借対照表を意識する意義は、手元の純資産(純財産)がいくらあるかを把握するところにあり、さらにそれが生活費の何ヶ月分あるかを把握するところにあります。

勤めている会社が倒産して失業してしまったり、個人事業主・フリーランスでも営業努力にもかかわらず売上が上がらなかったりで、収入が途絶えてしまった場合に、生活費何ヶ月分の純財産があるかを理解していれば、仕事がなくても食べていける期間が分かり、不安を軽くすることができます。その期間内に何とかして仕事を獲得すればよいので。

さらに、純財産をもとに、万が一の際に相続人である遺族が納めるべき相続税額の予想にも使えます。

純財産の大まかな金額を可視化-大まかでも良いので金額として明らかにしておくーすることで不安を少しでも軽くし、前向きに仕事に営業に取り組んでいきましょう。

【一日一新 Today’s New Things】

4月13日 なんぼや(新宿南口店)

G-Shockの売却(「おわりに」参照)。2016年の夏に購入して、主にプライベートタイムで愛用していたのですが、Apple Watchを使い始め、身につけなくなってしまったので、意を決して売ることに。短い間だったけど付き合ってくれてありがとうと感謝を込めて。新たなオーナーさんにも愛用してもらえますように。別れを惜しみ、写真をアップします。

(本投稿の執筆時間 70分)

 

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