意味の異なる2つの8%~10月1日以降は消費税の「税区分」設定に注意

10月1日以降に使用するもうひとつの「8%」

現在消費税は8%で、9月30日まで適用されます。これが10月1日からは10%になり、増税となります。この、9月30日までの8%と、10月1日以降の10%のことを、原則の税率という意味合いで「本則税率」と呼びます。

そして、この増税を前提に、10月1日からは新たに「軽減税率」という税率が登場することになります。(大雑把ですが)持ち帰りの食品と毎日宅配される新聞に「軽減税率」が適用され、その軽減税率が8%となります。

持ち帰りの食品と毎日宅配される新聞については、9月30日以前も10月1日以後も消費税率が8%と同じなので、据え置かれているように見えます。

しかし、9月30日以前は本則税率で8%(9月30日以前には本則税率しか存在しない)、10月1日以後は軽減税率で8%(本則税率は10%となる)となり、同じパーセンテージでも意味が違うのです。

消費税の改正前と改正後を含む事業年度だからこその注意

ここで、(法人を前提にすると)事業年度の末日が9月30日であれば、当事業年度(2018/10/1~2019/9/30)の消費税の申告は本則税率8%のみで計算でき、翌事業年度(2019/10/1~2020/9/30)の消費税の申告は増税後の本則税率10%と軽減税率8%のみで計算できます。つまり、増税前の本則税率8%と増税後の軽減税率8%という「2種類の8%」が混在せずに済みます。

もっとも、事業年度末日が9月30日ではない場合が多いでしょうから、多くの法人と、個人事業主にとって、当年度の消費税の確定申告では、 増税前の本則税率8%と増税後の軽減税率8%という「2種類の8%」が混在することになります。

会計ソフトの「税区分」設定

そこで、増税前にも増して重要になるのが、会計ソフトの税区分設定です。

軽減税率の対象となるものにつき、購入したものの受領、販売したものの引き渡しが、9月30日以前であれば、会計ソフトに入力する取引の税区分は(表記は会計ソフトにより異なると思いますが)

  • 「(旧)8%」「8%(旧)」「8%」

と、増税前の(旧)税率であることを示す8%の税区分になり、

受領や引き渡しが10月1日以後であれば、税区分は(表記は会計ソフトにより異なると思いますが)

  • 「(軽)8%」「8%(軽)」

と、軽減税率であることを示す8%の税区分になります。

9月30日以前の税区分と、10月1日以後の税区分を混同してしまわないことが重要です。

会計ソフトの多くに、消費税申告書の作成機能又は消費税の集計・計算機能がついていると思われますが、申告のための消費税の計算は、国に対する消費税と地方自治体に対する地方消費税を分けて計算する仕組みになっています。

増税前の本則8%では、国に対する消費税がうち6.3%、地方消費税が1.7%なのですが、

増税後の軽減税率8%では、国に対する消費税がうち6.24%、地方消費税が1.76%と、増税前から変更になります。

このため、9月30日以前の税区分と、10月1日以降の税区分を混同してしまうと、消費税と地方消費税の計算誤りを引き起こしてしまうことになります。

税区分の設定には十分に注意しましょう。

(アイキャッチ画像は6月4日に東京国際フォーラムに見学に行った「軽減税率・キャッシュレス対応推進フェア」にて撮影したもの)

(本投稿の執筆時間 65分)

Follow me!