税込の価格は、イートインとテイクアウトを同じにするのも、選択肢の一つ

10月1日の消費税引き上げまであと54日

いよいよあと54日で、消費税率が10%に引き上げられます(政治決断で消費税の引き上げが延期される可能性はゼロではないとは感じますが、ごくごくわずかでしょう。ここでは論拠は述べませんが、私は予定どおり引き上げられると考えます)。

イートインとテイクアウトの両方で営業している飲食店などのお店にとっては、消費税率引き上げ後の税込価格をどうするか、まだ考え中の方もいらっしゃると思います。(詳細な制度の説明は割愛しますが)イートインは10%、テイクアウトは8%(軽減税率)と、複数の消費税率が適用されるからです。

たとえば、カウンター(イートイン設備)のあるスムージースタンドにおいて、1杯500円(税抜)のグリーンスムージーを

  • イートインで販売すれば税込550円(500円×(100%+10%))
  • テイクアウトで販売すれば税込540円(500円×(100%+8%))

として、イートインとテイクアウトで税込価格を(税率が違うのにあわせて)別々に設定することを検討しているお店もあるでしょう。消費税は消費者が負担するものですから、これもひとつの選択肢です。

しかしながら、今(執筆時点2019年8月8日、消費税率は全ての品目で8%)であれば、イートインでもテイクアウトでも税込価格は540円です。これが、10月1日以降は、イートイン550円、テイクアウト540円と、同じものなのに2つの価格が生じてしまう(「一物一価」ではなくなる)ことに、抵抗を感じていらっしゃるお店もあると思います。

確かに10月1日以降は、イートイン10%、テイクアウト8%として消費税を計算する必要があるのですが、税込価格の値決めについては、検討する選択肢を増やしても良いと思います。例えば以下のようにしてみるのも一案です。

イートインでもテイクアウトでも例えば税込550円のように、税込価格を統一するという方法

このように、税込価格を統一すれば、税率引き上げ以後(10月1日以後)でも、イートインでもテイクアウトでも同じ価格設定となり、消費者(お客様)の感覚からすれば「税込価格が高いから(本当はイートインにしたいけど)テイクアウトしよう」と感じずに済み、心理的に楽になると考えられます。

もっとも、税込価格を統一しても、お店における消費税の計算については、イートインは10%、テイクアウトは8%と、分けて計算する必要はあります。

今でも「持って帰りますか?それとも店内にしますか?」と聞くと思いますが、10月1日以後でもお客様にそう聞くことは変わらず、

レジ打ちや会計ソフトに入力するときに

  • イートインでは消費税率10%としてレジや会計ソフトに入力する
  • テイクアウトでは消費税率8%(軽減税率)としてレジや会計ソフトに入力する(軽減税率であることがポイントです。軽減税率は今の8%とは意味が異なり、具体的には、軽減税率8%のうち消費税率は6.24%、地方消費税率は1.76%。現在の税率8%のうち消費税率は6.3%、地方消費税率は1.7%と、消費税率と地方消費税率の合計は同じでも内訳が違ってきます。)

という、新たな事務が発生します。税込価格を統一しても、お店の事務負担はこのように確かに増えますが、お客様の(イートインかテイクアウトかの)選択に税込価格が影響することは(今と同じように)無いという点で、10月1日以後の値決めの選択肢としては一考に値するでしょう。

なお、例示した税込価格550円の場合、それぞれの税抜価格は

  • イートインは500円(550円÷(100%+10%))
  • テイクアウトは510円(550円÷(100%+8%))

と、異なることになります。例示の場合、税抜価格はややもすると、便乗値上げと思われてしまうかも知れませんが、消費税率引き上げを機会とした税抜価格の見直しとして、例えば「テイクアウトに必要とする容器や包装の代金その他の経費を考慮した」「イートインの場合は廃棄物の減少につながるので廃棄物処理料を抑えられることから税抜価格は抑えることが可能となった」など、販売形態とそれにともなうコストの実態を踏まえて、お客様の理解を得るようにすると良いと考えます。

終わりに:値決めは経営の重要事項

消費税率の引き上げにともない、税込価格を検討し直すのみならず、税抜価格をも検討し直すのは、決して悪いことではないと考えます。便乗値上げとして批判的に捉える向きもあるかも知れませんが、そもそも、経営する上で、価格は常に、マーケット(お客様の購買動向や、取引先からの仕入れ状況)を見ながら、将来を考慮して見直していく必要があると考えられ、消費税率の引き上げ時期であってもなくても、必要に応じて値上げの判断をすべきだからです。

値決めは重要で、簡単なものではないですが、安易に安い価格を設定するのはどうか、とも思っています。

消費税率引き上げを機に、将来を予想しながら、値決めを見直すのも一案です。

(本投稿は、執筆時点における私見です。)

編集後記:今日のアイキャッチ画像・箱根そば「豆腐一丁そば」(夏季限定)

本文と関係ありませんが、小田急沿線のソウルフード、箱根そばで一番好きな
夏季限定の「豆腐一丁そば」今夏はじめて食べました。
ボリューミーで冷たい豆腐一丁とそばの相性がとても良く、
食後の清涼感がGOODです。

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