会計税務DIYの道〜個人事業主・フリーランス向け 

自宅のリノベーションを工務店に頼まず自分でしたり、野菜を自分で育てて収穫したりと、DIYが浸透してきています。

このDIY、仕事においても、会社に(勤めて)仕事を与えてもらうのではなく、複業(副業)の増加にみられるように、自分で自分の仕事を創り出す人も増えています。

そこで、仕事の結果である「会計と税務」も、会計士や税理士といった外部の専門家に発注せず、自分でやる会計税務DIYが浸透していくと思うとともに、私も「スポット相談業務」を通してDIYを支援しようとしているところです。

ブログやメルマガでノウハウを活発に発信する会計士や税理士も増えています。専門家の発信する情報を読みこなし、時には専門家に直接教わって、試行錯誤しながら会計税務DIYをやっていくのは、リノベーションや野菜育てにも共通するのではないでしょうか。

そこで、今回と次回の2回にわたり、個人事業主・フリーランスにとってのDIYのポイントについて、細かい規定は省いて大まかに解説します。

(新百合ヶ丘、夜のスターバックスで)

毎日の取引の会計ソフトへの登録

結局はこれが一番重要です。1年の経営の成果を数字(金額)で表現する「青色申告決算書」も、毎日の積み重ねによって完成されます。

私は、効率性と生産性の点から、クラウド会計ソフトをお勧めするところですが、自分にとって使いやすい会計ソフトを、無料体験版などを活用して試しに使ってみながら、選択します。

売上、仕入れ、経費の会計ソフトへの登録は、溜めてしまうことなく、毎日、5分ないし10分程度割いてやります。

日付、金額は当然として、摘要欄には、相手先名、買ったものの内容、買った目的や理由を登録。

消費税区分は、課税売上、非課税売上、課税仕入(課税売上対応か、非課税売上対応か、課税売上非課税売上共通して対応するかの区別も)、非課税仕入、課税対象外などなど、消費税の計算をするにあたっての取引区分を記録していきます。

月次決算

毎月、月末時点での売上高、売上原価、粗利、経費、利益をレビューします。月間目標は達成できたかどうか、達成できたあるいは達成できなかった理由は何かを分析して、翌月以降の対策に繋げます。

さらに、月末時点での会計ソフト上の現金と預金の残高、売掛金の残高、買掛金や借入金の残高が実際の(現物の)残高と一致しているかどうか、帳簿と現物(売掛金なら請求書控えや納品書控え、買掛金なら請求書や納品書、借入金なら返済予定表の残高)を照合します。ここで不一致があれば、早急にその原因を調べて、判明したら修正します。

源泉所得税の納付

従業員を雇っていれば、給与を支払うたびに源泉所得税を差し引いて、その源泉所得税を預っておく必要があり、さらに会計士、税理士、弁護士などへの報酬を支払う際も、源泉所得税を差し引いて支払うことにより、源泉所得税を預かる必要があります。

この、預かった源泉所得税は、原則として前月預かり分を、当月10日までに税務署に納めます。

納期の特例の申請書を提出していれば、1月〜6月に預かった分を7月10日までに、7月〜12月に預かった分を翌年1月20日までに税務署に納めます。

納めるにあたっては、納付書(徴収高計算書)を書いて提出する必要もあります(あるいはe-Taxを利用して入力し電子的に提出)

所得税の予定納税

前年の所得税(予定納税基準額)が15万円以上であれば、7月(末日まで)と11月(末日まで)に所得税を前払いする必要があります。予定納税といいます。予定納税の金額は、税務署から6月15日までに、書面で通知されます。

消費税の中間申告と納付

前年の消費税の額(地方消費税の額を含まない)が48万円超の場合に、中間申告と納付が必要になってきます。

前年の消費税の額(地方消費税の額を含まない)が48万円超400万円以下であれば、年に1回中間申告が必要で、7月1日〜8月31日が中間申告と納付の期限になります。

住民税と事業税の納付

個人の住民税と事業税は賦課課税方式といって、地方自治体から納税通知が書面で来ます。

住民税(市町村民税と都道府県民税)の納付は、6月(期限は末日、以下同様)、8月、10月、翌年1月。一括して納めることもできます。

住民税の合計は、課税所得の10%(所得割)プラス均等割(税率は地方自治体により異なる。なお、住民税の課税所得は、所得税の課税所得よりも大きくなる。所得控除の額が、その種類により、所得税より住民税の方が小さくなるからである。例えば、基礎控除は所得税38万円、住民税33万円)

事業税(都道府県に納める)の納付は、8月(期限は末日、以下同様)、11月です。一括して納めることもできます。

事業税の合計は、(青色申告特別控除前の所得金額ー事業主控除290万円)×税率。税率は業種により異なるが、ほとんどの業種で5%となっている。

次回の内容

次回は、年末から年明けの確定申告にかけての、会計税務(の事務)を解説します。

(本投稿の執筆時間 70分)

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