経理DIYに必要なもの。毎日の入力の習慣化。

確定申告の期限まぎわにまとめてやるのは、やめよう。

頭で覚えていることと、現実に起こったことや起こっていることとの間には、ギャップが生じがちです。

特に、現実に何かが起こってから時間がたてばたつほど、頭が覚えているイメージと、その起こった現実との間とのギャップは、広がる傾向にあります。

人間は忘れる動物。時間がたてばたつほど、記憶は薄らいだりあいまいになったりしますから。

だからこそ、現実に起こったことを、その起こったときに、タイムリーに記録に残しておくことには意味があります。

企業の場合、売上や経費を取引のつど、会計ソフトに入力(取引を登録)するのは、確定申告のためだけではありません。

そもそも経営の結果を把握して、次につなげるためです。

PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)でいえば、Checkをして次のActionにつなげるために、会計ソフトに入力するのです。

だからこそ、取引をしてからすぐに(厳密には請求書や領収書など取引書類(エビデンス)を入手したらすぐに)、会計ソフトに入力することが重要になります。経営の結果をリアルタイムで把握して、すかさず次のActionにつなげるという意味で。

(参考→電子帳簿保存法における取引書類のスキャナ保存の要件のうち、早期入力方式として、受領後速やかに(おおむね7営業日以内に)入力すること、とされています)

確定申告期限まぎわにまとめて会計ソフトに入力する、というのは、論外なのです。

基本。今日一日の売上と経費は、今日の業務終了後または明日のあさイチに入力。

企業経営という仕事の中身には、経理が当然含まれます。経理=営管です。

経理担当者を採用していないのであれば、経営者(社長や事業主)が自ら経理をする必要があります。

(経理担当者を採用した場合、経理担当者の仕事と成果(会計ソフトの登録内容)をチェックするのは、経営者や事業主の仕事です)

経営者であれば1分、1秒の価値を深く理解し、スケジュール管理は得意中の得意のはず。

ならば是非、一日のうち5分から10分程度、今日一日の売上と経費を会計ソフトに入力する時間をつくれるはずです。

今日一日の売上と経費は、今日の業務終了後の10分か、明日のあさイチの10分に会計ソフトに入力しましょう。

今日一日の売上と経費を、自ら、その日のうちか翌日のあさイチに会計ソフトに入力することで、今日一日を振り返り、今日一日の理解や記憶を深めることができ、CheckとAcitonを適時に効果的にできるようになります

個人事業主でも小さな会社でも、月次決算(月次締め)をやる。

月次決算(月次締め)をやらないスモールビジネスもあるようです。しかし月次決算をやらないのは、企業経営として優れているでしょうか?

上場企業のように義務づけられてはいないにせよ、月次決算をやって、一か月の取引を振り返り、反省し、一か月の実績や出来事や問題点を理解し、記憶を強化することは、企業経営上とても重要だと、私は専門家として信じて疑いません。

企業の経理の能力、マンパワーにもよりますが、当月の取引を翌月の10日までには(これも早ければ早いほどよい)全て見直し、会計ソフトにもれなく、重複なく、重要なミスなく登録されていることを確かめて、修正し、当月を締めます。

この一連の月次作業によって、一か月の取引を振り返り、理解し、記憶を強化することができます。

顧問税理士がいる場合には、この月次作業の期間のあいだに会計ソフトに登録した内容をチェックしてもらうようにしましょう。

おわりに~小さな異変も見逃さないために。税理士からタイムリーなアドバイスを受けられるように。やる。

毎日の売上や経費の入力作業、毎月の月次決算(月次締め)はめんどうに思われるかもしれません。それでも「めんどう」という労力に見合った成果を得ることができます。

ひとつは、小さな異変を見逃さない力が強まります。

毎日、売上や経費を入力することは、毎日体温を測ったり、血圧や体重を測ったりするような健康管理に似ています。

体の小さな異変、たとえば痛みとか、発熱とか、かゆみとか、倦怠感に気が付くように、企業に起こっている小さな異変(問題点)に気が付きやすくなり、対処を早めに打てるようになります。

もうひとつは、顧問税理士がいる場合には、税理士さんのチェックを毎月決まった時期に受けられることから、早めにタイムリーにアドバイスをもらえることです。

例えば確定申告間際に一気に会計ソフトに入力した内容について、アドバイスを受けるには遅すぎます。3カ月や半年に一度でも遅いといえます。

税理士事務所のマンパワーの状況にもよりますが(毎日とか、一週間に一度とかアドバイスをするのはさすがに難しいと思われますが)、1か月に一度が、アドバイスを受けるのにタイムリーといえるもっとも遅いタイミングではないかと思われます。

当事務所は、お客様とのコミュニケーションを重視していますが、毎月の会計ソフトの入力状況のチェックをとおして、お客様のビジネスへの理解を蓄積して、深め、より適切なアドバイスを実現することを心がけています。

現在では、クラウド会計ソフト(当事務所はfreeeを使用)により、直接の対面が無くとも毎月のチェックやアドバイスがしやすい環境になりましたし、そもそもクラウド会計ソフトの機能を活用して毎日の記帳もやりやすくなりました。あとは、経営者さまの経理DIYへの意識と、実際にDIYしてみることです。

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