起業1、2年目の消費税をどうするか?
原則として免税→消費税の申告と納付の必要なし!還付もなし!
起業後2年目(個人事業の場合。法人の場合は2年度目)までは、免税事業者として取り扱われ、原則として消費税の申告と納付は必要なく、還付を受けることもできません。
消費税の申告及び納付が必要となるかどうかは、当年(法人なら当年度)の2年前(法人なら2年度前)(この、2年前ないし2年度前のことを「基準期間」といいます)の課税売上高の金額で判断されます。基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、当年(当年度)は免税事業者として取り扱われます。
この点、起業後2年目までにおいては、「当年の2年前」は事業をしていないことから、基準期間が存在しないことになり、基準期間が存在しないので、免税事業者として取り扱われるということになります。
税務署への届け出により、申告と納付・還付が可能に!
起業後2年目までにおいては、基準期間が存在しないため、免税事業者として取り扱われますが、免税事業者というのは免税の裏返しで、還付も受けられないということになります。
消費税の原理原則として、売上で顧客から預かった消費税-仕入及び設備投資で取引先に支払った消費税>0の場合に消費税を納めることとなるのですが、
初期設備投資の金額によっては、売上で顧客から預かった消費税-仕入及び設備投資で取引先に支払った消費税 <0になりえます。この場合には、申告をすることにより支払超過となった分の消費税を還付してもらえます。しかし、免税事業者のままでは、申告も還付も認められないことから、制度上免税事業者とされていても、課税事業者になることが可能な(課税事業者となることを選択できる)制度が用意されています。
課税事業者となるには「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出する必要があります。提出期限は、原則として課税事業者になろうとする年(年度)の開始の日の前日までですが、事業を開始した場合には、その事業を開始した日の属する年(年度)の末日までに提出すれば、その年(年度)から課税事業者となります。
課税事業者になれれば、支払い超過となった消費税を申告によって還付してもらえますが、消費税課税事業者選択届出書を税務署に提出すると、最低2年(2年度)の間、課税事業者をやめることができず、最低2年(2年度)続けて消費税の申告及び納付(預かり超過の場合)が必要になります(なお、課税事業者を選択している間に税抜100万円以上の固定資産を購入すると、課税事業者をやめることのできない期間が3年または4年間となります)。
課税事業者を選択すると、2年~4年(2年度~4年度)は消費税の申告と納付が必要となることから、消費税課税事業者選択届出書を提出する前に、向こう2年~4年の売上、経費、設備投資を計画(シミュレーション)し、トータルで還付が上回る(すなわち得をする)か、納付が上回るか(すなわち損をするか)を十分検討しておく必要があります。
※制度の大まかな説明にとどめており、詳細かつ厳密な説明は省略しています。個別具体的な税務処理や問題解決方法については、税理士等専門家に個別にご相談頂いた上で判断されますよう、お願い申し上げます。
※アイキャッチ画像は、税務データベースTAINSのホームページ。税務上妥当な処理や、解決方法を調べるために当事務所でも用いています。
(本投稿の執筆時間 60分)