しんゆり北口マルシェ~街にとってマルシェとは?

昨日、川崎市アートセンター前で開催された、しんゆり北口マルシェに行ってきました。初開催で、10月にも29日(日)に開催されます。

地元野菜の販売ブースを含めて全部で9店舗、コンパクトなマルシェにして、人出は結構あり、アートセンター前に賑わいが生まれた日曜の昼下がり。

最近地元ではやり始めた「万福寺にんじん」をつかったドーナツや、地元農園で収穫されたブルーベリーを使ったクラフトビール(醸造は、お隣多摩区のブルワリー・ムーンライトさんに委託したとのこと)など、地元の人が地元の素材を使って手作りしたものを、心をこめて販売するなかで、会話が自然に生まれ、地元の雰囲気も高まります。

さて、川崎市麻生区における野外マルシェの先駆けは2010年に柿生で始まった
Vege&Fork Market
(毎年5月と11月に開催され、15回目になる次回は11月4日(土)・5日(日))

麻生区の「区都」である新百合ヶ丘では2014年に
しんゆりマルシェが始まり(4回目になる今年は11月25日(土)開催)

今年は百合ヶ丘でのよみ・ゆり Megury-na (めぐりーな)(5月)に、

このしんゆり北口マルシェと、

全国各地でファーマーズマーケットやマルシェが展開される中、麻生区においてもマルシェブームが加速し始めました。麻生区が誕生した1982年以来、芸術文化の街という旗印を掲げてきましたが、ライフスタイルにおいてのクラフト、オーガニック、そしてコミュニティーの充実に向けて進化を加速し始めた感があります。

さて、そもそも、なぜ今、全国各地でファーマーズマーケットやマルシェ(それぞれに明確な定義はないと思うが、個人のつくり手が、自ら育てた採れたての新鮮野菜や果物をはじめとする食品や、添加物などを使わない安全安心な手作りの加工食品などを販売し、出店するお店それぞれの個性と、マルシェ全体のデザイン性を重視しているという点では、両社は共通する)がブームになっているのか、考えると、

  • 安心・安全な食材に対する需要の増大
  • 生産者と消費者が直接知り合うことにより、お互いに顔を合わせられる関係性をつくりたい
  • コミュニティーの再生が必要とされるなか、その一つの手段として場をつくりたい
  • 自分の得意とするものづくりを、社会に発信したい。いわば起業家の発表の場としてのマルシェ
  • 大手資本によるチェーンストアに対する、オルタナティブなカルチャーの熟成
  • 個人のSNSによる情報発信力が高まり、個人事業をやりやすい社会となった。
  • 複業の機会が増え、マルシェやファーマーズマーケットが複業を展開する場になった
  • まちづくり(これも全国各地で盛んである)のツールのひとつ

以前に、街(都市)とは「見ず知らずの他人同士のゆるやかな関係性」と本で読んだと書きましたが、マルシェというのはまさしく「ゆるやかな関係性を築く」一つの手段と捉えられます。

人は、それぞれに得意分野が異なり、異なるからこそお互いに取引をして、自分にできないことはお金を払ってほかの人にやってもらう(お金と他人の特技を交換する)ことで、商売が成り立っていますが、マルシェは商売の集合体にして、街(都市)の原点であると思います。

高度成長期から00年代にかけて、大手資本によるチェーンストアが普及しましたが、どの街も似たような店構えになってしまい、個性を取り戻したいという本能的なムーブメントにようにも思います。現代を「昭和初期のようだ」と評する人もいますが、昭和初期には個人商店がひしめき、街や集落における見知らぬ人同士の人間関係も確かに存在したと思います。現代は、都市化が進みすぎ、ひととひととの関係性が感じられないか、ないような地域もあるのではないかと思いますが、いきつくところまでいきつかないよう、本能的に、ITというツールを活用しながら、動いているのが現代だと感じています。

そして、マルシェという、個人事業や小規模会社の、商売というツールを通した表現の場が、全国各地に育つことによって、起業が盛んになり、地域が盛り上がることが期待されるので、このマルシェブームは大歓迎すべきブームです(起業家は、税理士を含む、士業にとっての大切なお客様ですから、沢山の起業家に誕生していただきたいと思っています)。

川崎市麻生区に話を戻すと、新百合ヶ丘を中心に芸術文化の旗印を掲げつつ、芸術文化の街というよりは、ベッドタウンとして発展して今日に至りました。

ベッドタウンというのは、ベッドタウン単体では存続が困難といえます。近隣の商業地に依存しないと生活の充実が図れず、特に用事がなければベッドタウンを訪れたいとも思えず、活性化の観点からすれば、ベッドタウンには限界があるのではないかと思います。

空き家問題、人口減少をいった問題に直面しているのは、麻生区においても他の地域と同じで、ベッドタウンは今後、その維持発展にとって正念場だと考えます。

人口減少とともに衰退してしまうのか、それとも、東京都心という世界的巨大商業地から独立して、他の地域からひとを集められるような商業~特に、この地域ならではの個性的な商業~が興るのか、地元民としても目が離せないところです。

もともと麻生区というところは、農村地帯。ベッドタウンではありませんでした。歴史やもともとある自然環境を生かしたまちづくりは全国各地にみられると思いますが、麻生区でもそれが試され、かつ実行に移され始めたようです。

それが、マルシェだと思います。マルシェというムーブメント、今後も目が離せません。

(本投稿の執筆時間 80分)

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