雇用契約でも「雇用される」時代は終わり、どこでもマルチな起業家精神が求められることに。

昨日、渋谷ヒカリエ34階で開催されたトークイベント
「40歳サバイバル ~人生100年時代の新しいキャリアとは~」
に行ってきました。

LIFE SHIFT リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著 池村千秋訳、東洋経済新報社
を年頭に読み、団塊世代と、私の世代(団塊ジュニア世代)と、今の10歳前後の世代とでは、人生の長寿化やITをはじめとするテクノロジーの進化により、送り得る人生の様相がかなり異なることに興味を持ち、このトークイベントのタイトルをみて、ピンと来て参加してみました。

団塊世代は、父や(私の父は団塊世代よりもわずかに上の世代)父に近い世代の方を見て、終身雇用制度が整備・運用され、定年が60歳から65歳であり、定年後は公的年金を中心とした厚めの社会保障があり、仕事はしてもしなくても良いことを前提としてライフデザインをしているものと見受けます。

私の団塊ジュニア世代は、大学が最終学歴であれば大卒後20年超、終身雇用制は崩壊し、転職が当たり前になっている今、ミドルエイジとして活躍しています。団塊世代の制度でいえば、あと二十数年で定年を迎えるところですが、定年の延長や、そもそも定年制度が無くなるのではないかが問われ、年金など公的な社会保障もほとんどあてにできず、自分で老後資金を蓄えるか、あるいは(老後資金を蓄えつつも)生涯現役を貫けるよう、一層のキャリアアップやキャリアチェンジを図るようになると思われます。さらに、一生涯一仕事ということもだんだんなくなり、生涯のうちに仕事を何回か変える方も増えると思われます。私は、100歳までは生きられないと思いますが(健康を維持して生きてみたいと思っていますが、幼少期から虚弱だったこともあって、90歳まで生きれば私の場合、長い方だと思います。それでも、来年折り返し地点ですが)、生涯現役を志しています。もっとも、会計業界が今のままで時代がすすむとも思えず、IT、AIの波にのまれ、2年先はまだなんとなく想像つくとしても、3年以上先にどうなるかは分かりません。他の士業もですが、定型的な業務(会計業界でいえば、記帳代行や申告書の作成)は、24時間働けるAIに取って代わるでしょう。コンサルティングなど創造的な業務のウエイトを増やし、会計事務所という単一の仕事に終わることなく、複業(パラレルキャリア)という多角化が必要と考えています。多角化戦略は会社員や個人にとっても重要度が増していきそうです。

今の10歳前後の世代は、ライフシフトによれば、卒業して一度社会で働いても、ギャップイヤーなどがあり、旅に出たり、ボランティアしたり、違う仕事に一定の期間従事したり、大学や大学院に戻ったり進学したりと、今の40代よりも柔軟なライフデザインをするとの予想があります。現に、今の20代から30代を俯瞰しても、なんとなく予想できるところです。高等教育機関の重要性は今よりも増すうえ、日本では今も18歳前後で大学に進学し、一度社会に出てまた大学に戻る方は少ないですが、大学に行く年齢も、多様化していきそうな感じがします。

ここまで長くなりましたが、トークセッションから受けた印象は「一社でしか通用しないスキル」や「一専門領域でしか通用しないスキル」はもう役にたたない時代になったと強く思いました。今回の会場はKDDIでしたが、KDDIの方が冒頭でお話ししていた「ポータブルスキル」という言葉が印象に残りました。「自分の専門分野以外の職務遂行能力+人柄」です。専門外のことであっても、それをビジネスとしてやれる力が必要な時代になっているということです。

堀江貴文氏の「多動力」も話題にのぼっていました。私はまだ読んでいませんが、あらゆるところに動いて点と点を結んで線や面にしていって自分だけのビジネスを作り上げるというふうにとらえました。さらに、キャリアのタグ付けといって、自己のビジネスの構成要素をどのようにかけ合わせてビジネスとしてやっていくかというところです。キャリアのタグ付けで思い出したのが、税理士の井ノ上陽一さんの「税理士×IT×時間管理」です。この能力が求められるということです。

終身雇用制はもう壊れていますが、今もなお企業によっては終身雇用制のバージョン(WINDOWSにたとえれば、95とかMEというところでしょうか)で動いているところもあるようです。しかし、社会が激変するなか、いつまで旧バージョンで仕事ができるのか、ある日突然機能しなくなることも仰っていたのが印象的でした(早期にWINDOWS10にバージョンアップしたほうがいいということです)。

最近のブログでよく書くことですが、古いやり方は慣れているし、安全に感じる(錯覚させられる)が、時代に合わなくなるリスクは増大し、古いやり方が通用しないけど、新しいやり方がわからないという事態にならないよう、新しいやりかたを、最初覚えるのは苦しいけれども、マスターし続けることが大事だと。

冒頭にも書きましたが、受け身で「雇用される」時代ではなく、トークイベントで「給料はもらうものではなく稼ぐもの」と力説されていたとおり、雇用契約であっても、会社に使われず、対等に渡り合い、商売をしかける時代になりました。単一のビジネスではなく、マルチな起業家精神は働く人ならだれにでも求められる、そういう時代に入りました。

トークイベントの最後に「勉強はし続けること」とおっしゃっていました。恥ずかしながら、勉強しなかった時期も少なからずありましたが、勉強を続けなければ、激化する競争に飲み込まれるだけに終わりそうです。働き方改革は労働時間の削減という耳に優しいことに本質はなく、生産性の競争というすさまじい競争があると、そう認識させていただきました。トークイベントに参加できたことで、認識を新たにできたと感じます。勉強をし続けます!

(本投稿の執筆時間 75分)

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