事業承継セミナーを受講してきました

昨日は、神奈川県事業承継ネットワーク主催・事業承継セミナー~事業承継計画の作成について~を受講してきました。

中小企業経営者の高齢化が進行するなか、今年から、団塊世代の経営者が70歳以上になり始めました(1947年に生まれた方(私の父の世代よりも若干下の世代)は、今年70歳)。事業承継もまた、相続と同様、我が国の大きな「解決すべき課題」としてクローズアップされてきました。

ところで、事業承継とは何か?どのようなことをするのか?事業承継という単語を耳にしただけではなかなかはっきりイメージしにくいかもしれません。

会計事務所であれば、自社株式(株価の評価をしつつ)や、設備や不動産(モノ)、資金(カネ)を誰にどのくらい承継させるか、相続税対策の観点をいれながらプランニングのサポートを、また相続税の申告をしますが、これらは事業承継の一部であって、ほかにもやるべきことはかなりあります。

昨日のセミナーで特に印象に残ったのは「次の経営者になる後継者の育成」「現時点での企業の問題点の把握と解決」「そして強み(=ブランド、信用力、ノウハウなど目に見えない、また必ずしもお金に換算できない)を把握し後継者が利用したり身につけたりできるようにする」ことです。

会計事務所としては、その業務の範疇(会計・税務・財務のアドバイザリー)を超えるものも含まれるでしょうが、まさしく経営の問題として、深く理解しながら(時には中小企業診断士等他の専門家とコラボしながら)、現経営者と後継者にアドバイスしていく必要があると感じています。

セミナーでは、事業承継の失敗談~後継者の経営能力・経営者としての意識・覚悟が不足していたため、後継者が社長に就任してから経営が傾き、会社が第三者の手に渡ってしまった~も聞き、単に後継者に株式や会社が使用している財産を引き継がせるのではなく、後継者を起業家マインド十分な経営者に育成するという「ヒト」の問題も事業承継の問題と、認識を新たに持ちました。

そして、これはまさに会計事務所の役割といえますが後継者の会計教育もとても重要だと感じました。売上高や利益はまだ理解できても、決算書を見たことがない、貸借対照表や株主資本変動計算書が読めない後継者が少なくないそうです。現経営者の決算書は後継者にとっての優れた教材のはずです。

さて、事業承継は、長い時間がかかります。最低でも10年はかかると思った方がよさそうです。

結局は、承継させる現社長と承継する後継者双方の、強い当事者意識の醸成が必要になるからであり、一朝一夕ではできず、1~2年では短すぎです。

事業承継という問題に関心が持てなかったり、目をそらす現経営者の方も少なくない現状があり、一方で、社会に対してよい影響を与え業績も良い(黒字額が少額だとしても、役員報酬が十分に支払われている会社なのであれば、それは承継していくべき会社である、というのも印象に残った)ならば、承継によって社会に良い影響を与え続ける必要もある。この「必要性」を理解していただくことからして時間がかかります。

企業にサービスを提供する有資格専門家は少なくありませんが、会計事務所としては私は、若い経営者であっても「遠い将来を意識して頂けるよう」、ミドルエイジ(40代中盤~50代中盤)の経営者には「そろそろ事業承継を明確に意識して頂けるよう」アドバイスしていきたいと考えます。

<昨日のセミナーで情報提供していただいた参考資料>

出所:中小企業庁ホームページ
「経営者のための事業承継マニュアル」はこちら

出所:中小機構
支援者(金融機関、商工会議所、各種の士業など)向け「事業承継支援マニュアル」(画像は表紙)はこちら

(本投稿の執筆時間 75分)

 

 

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