無人のスーパー・コンビニと、人が集まるハンドクラフトのマルシェと。

規格大量生産品を扱うコンビニとスーパーは無人に

写真の本「amazon 世界最先端の戦略がわかる」(成毛眞著・ダイヤモンド社)を読みました。アマゾンによるITテクノロジーを駆使した、物流と小売の徹底した生産性の向上と効率化。ドローンによる宅配にしても、無人のスーパーやコンビニにしても、間違いなく普及するであろうことを予感させられました。

新たに知った知識として「低関与商品」があります。ティッシュペーパーや歯ブラシのように、日常生活で必要ではあるものの、特に思い入れのない商品のことです(同書より)。大企業により規格大量生産され、類似の競合商品が複数あり、激しい価格競争にさらされる商品(コモディティ)を想起しました。

大手のスーパーやコンビニエンスストアは、ほぼ「低関与商品」で占められていると私は感じています。お菓子や飲料のようにコンビニ限定の商品もありますが、規格大量生産されていることに変わりはなく「低関与」の度合いが少し弱い程度と思っています。

大手のスーパーや一部のコンビニにも、セルフレジをよく見かけるようになりました。買い物のときにレジに並ぶ時間がもったいないと思うようになった私は、セルフレジはあまり並んでいないこともあって、セルフレジで精算をすませることが増えました。

従来のレジは、レジ1台あたり1人ついていますが、セルフレジではひとりあたりレジ数台~数十台というように、セルフレジの導入によって人員を削減できます。人手不足の現代においては、セルフレジの導入が人手不足の解決策になり得ます。

買い物かごに入れたものを、店内にあるカメラやセンサーで読み取って(棚に戻したものも読み取る)、店を出たときに自動的に精算ができるという、そもそもレジの無いコンビニも登場するとのこと。規格大量生産品の流通と小売をめぐる省力化は止まらないものと思います。

地元でも各地でもマルシェが花盛り

一方で、読み終えて思い出したのが、各地に増えているマルシェやファーマーズマーケットです。無人化の道を歩んでいるチェーンストアやコンビニとは対象的に、こちらは、人であふれかえっていて、楽しげな会話があちこちで聞かれます。

地元の新百合ヶ丘でも、しんゆりフェスティバル・マルシェが6月から(ほぼ)毎月開催されるようになり、今月は会場・規模を拡大して街の歴史上最大の盛り上がりになるようです。この時期イベントがあちこちであり、10年位前に比べるとイベントが雨後の竹の子のように林立するようになったものだと感じています。

マルシェが増えてきて花盛りになっているのは、使い古された感がある言葉ですが「コト」を消費したいから、体験したいからだと思います。

チェーンストアにおける日常の買い物は、ルーティンワークで、買うものの多くは規格大量生産されるものであり、売り場でもレジでもお店の人と会話することはまず無いでしょう。

マルシェは、チェーンストアとは対極的にあります。お店のひとと、商品について、お店のことについて、会話が弾みます。販売されるものにはストーリーがあって、ストーリーを語るお店の人も、買おうとするお客さんも、ストーリーを楽しんでいます。

さらに、マルシェにはフェスティバルの要素があります。バンドの生演奏、お料理の実演、そして買ったものをその場で食べられるスペースもあり、買い物という行為がルーティンワークではなくて、旅先の空気や雰囲気に触れているような非日常感すらあります。

さて、一方ではテクノロジーにより徹底的に生産性が上がり効率化された商売が実現し、もう一方では生産性と効率よりも、会話があって人のつながりを感じて、遊び心もあって、五感に働きかける商売が実現している現代にあります。

商売のあり方として、どちらをめざしたいかを考えて、実行していく必要がありそうです。

(本投稿の執筆時間 60分)

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