見積書や請求書は「明細」を作ってもらおう
「一式○○○円」はありがちかも、ですが
先日、ご相談を受けたケースをひとつ(実際に受けた相談とは、設定を変更して書いていきます)。
喫茶店を開業される方(買主)が、喫茶店をクローズする方(売主)から、クローズするまで使っていた喫茶店の設備、機材や備品一式を買い取ることとなり、その見積書が買主に届いたのですが、どれが経費になって、どれが経費にならない(減価償却となる)か、分からないからどうすれば良いかというご相談でした。
見積書には以下のように記載されていました。
- コーヒーグラインダー
- エスプレッソマシン
- コーヒーサーバー 3個
- コーヒードリッパー 3個
- コーヒースケール(秤)3台
- カップ 15個
- ソーサー 15枚
- グラス 15個
- コーヒー豆のショーケース
- スプーン、ストロー、ペーパーナフキン、ペーパーフィルターほか消耗品 以上一式150万円
多くの品目がありますが、すべてひっくるめて「一式150万円」という見積書になっています。各品目それぞれがいくらなのか、これだけでは分かりません。
エスプレッソマシンは中古とはいえ、全額は経費にできないんじゃないか?コーヒーグラインダーは経費にできるのか?ということが、それぞれの金額が明確になっていないので、分かりません。
そこで、見積書(請求書も)は「明細」というかたちで、各品目それぞれの金額を売主に書いてもらいましょう
私はご相談者さまにこのようにお答えしました。まず、それぞれの金額が分からないと、エスプレッソマシンやコーヒーグラインダーが本当に経費にならないのかどうか、他のものについても、本当に全額経費にしても良いものなのか、判断がつきません。
また、売主に書いてもらうということですが、売主は購入したときの金額を覚えている(少なくとも、うっすらと覚えている、場合によっては古い帳簿で調べられる)ので、各品目それぞれの金額を決めやすいです。もちろん、売買価額は、最終的には売主と買主との交渉で決まるべきものなので、売主の言い値には必ずしもならないでしょうが、売主が購入したということを考えると、売主が最初に提示する価額は少なくとも「たたき台」としては妥当なものと考えられます。
例えば、エスプレッソマシンについて60万円に決まった場合には、全額を一時の経費には出来ず、減価償却の上、中古の耐用年数(この投稿では説明省略)にわたって経費として配分するということになります。
コーヒーグラインダーについて12万円に決まった場合には(中小企業者を前提にすると)、年間300万円までの枠内で一時の経費とするか、一括償却資産として3年間にわたって毎年均等に経費として配分するかを選択できることとなります。
その他の品目についても(細かい説明は省略しますが)、各品目1個又は1式あたりの金額が10万円未満であることが明らかになれば、一時の経費にできることとなります(大量の消耗品のように、年度末に使用していない部分については、経費にできない場合もありうる)。
購入するもの全てまとめて「一式○○○万円」のように、明細のない状態で一式の金額を提示された場合は、すぐ次のステップとして、各品目ごとの価額が明確になるよう「明細」をつくってもらうようにしましょう。
(本投稿の執筆時間 60分)