公認会計士の特徴かつ特長〜タカモト的目線で(前編)
はじめに
3月決算の会社や法人にとっては、決算打合せが終わったか、翌月初に控えているかというところでしょう。決算日(3月31日)を過ぎ、4月に会社の決算作業が終盤に突入するころ、中旬からGWにかけてが、監査をする公認会計士にとっての最繁忙期です。私は非常勤の立場で今も、決算の監査に入る日があります。
さて、今回は、私が監査法人に勤務していたころを振り返りつつ、公認会計士の特徴なり特長について、私の見方で書いていこうと思います。
会計データの分析が得意
月次損益の推移、前期比較、予算実績比較、勘定分析(借方と貸方の内容を大局的に把握し、あるべき勘定科目や数字になっているか)、比率分析など、様々な方法で会計データを分析して、異常な変動の有無を確かめるということを、監査法人入所の1年目・業界に入りたてのころから徹底的にやることとなります。
会計監査というのは、決算書が適正に作成されているかどうかを、第三者的立場から証明する仕事ですが、限られた人員と限られた時間内で完遂しなければならず、会計データを全てもれなく見ること(精査といいます)はできません。
そこで、あらかじめどこを重点的に見るかということを計画して決めておいて、計画した時点から決算日に至るまでの間の状況変化も考慮しながら、異常なデータの変動がないかを分析によって確かめ、異常なデータの変動があればそこに「間違いや不正」の可能性を見出し、担当者に詳しく話を聞かせてもらったり、領収書や契約書といった取引の資料を読み込んだり、データと突き合わせたりして「間違いや不正」の有無を判定するわけです。
公認会計士は、会計データの分析によって異常点を発見することに長けているといえます。
業務とその流れを詳細に把握し問題点と改善点を見つけるのが得意
監査の一環で、内部統制が決算書を適正に作成するのに役立っているかいないかの評価をします。内部統制というのは、平たく言えば内部の管理体制のこと。上司が部下を監視(モニタリング)したり、報告を求めることも内部統制です。
稟議書が作成され決裁印が押されているか、現物と帳簿(例えば、現金そのものと現金出納帳)、帳簿間の突き合わせが行われ認印などで担当者が明確にされているか、領収証や小切手が番号順に使用されているか(連番管理といいます)、議事録は整然と作製されているか、など。
様々な内部統制のうち、決算書が適正に作成されるために必要かつ重要なものを、業務の流れを詳細に聞いたり書類を見たりしながら特定し、特定した内部統制について、十分に機能しているかどうかを(反復継続する業務の中から)数十件程度の取引の資料を見ながら判断するわけです。
十分に機能していないと判断した場合には、監査上、会計データ自体の裏付け手続き(実証手続といいます)を厳しくしますが、内部統制の改善案を示しつつ改善を申し入れます。
この業務の流れを詳細に把握する力を応用し、非効率なところはないかどうかも見ることができます。また、企業の業務にITは欠かせないので、情報システムの安全性はどのように確保されているか、情報システム内の業務処理はどのような流れになっているかについても、情報システムの専門家と協働しながら検討します。
公認会計士は、業務とその流れを詳細に把握して、どこに問題点、改善点があるかを見つけ、改善案を提案するのが得意と言えます。
組織やビジネスのどこにリスクがあるかを見つけようとする
実際に監査をするにあたっては、監査計画をたてるのですが、計画のときには、組織や内部統制、ビジネスのどこにリスク(決算書に間違いや不正が入り込み、決算書が適正に作成されないリスクのこと)があるかを検討します。ビジネス自体のリスク(ビジネスがうまく行かず、想定より利益が伸び悩んだり、ないし赤字になるリスク)もまた、決算書の正否に影響を与えるので、検討します。
ビジネスのリスクというのは、経済情勢、市場・業界の動向にもよるので、そうした外部的な経営環境も調べていきます(日経新聞は必読紙)。
私は、監査法人から税理士法人へとキャリアを進めましたが、公認会計士の中には、起業家として、あるいはCFOとして会社を経営している方も少なくありません。リスクを検討する能力をフルに発揮しているといえます。
公認会計士はリスクを読みとるのがうまいと言えます。
次回は
公認会計士は、全国に3万人程度いますが、公認会計士に共通していると思われる行動原理とか、性格についても触れていきます。
(本日の執筆時間 70分)