消費税の概略その3~課税売上割合

「課税売上割合」とは、総売上高に占める課税売上高すなわち消費税のかかる売上高の割合のことをいいます。

課税売上割合=課税売上高(税抜)/総売上高(税抜)

一般的にモノやサービスを販売する際には、消費税がかかるものの、業種によっては消費税のかからない売上があります。消費税のかからない売上高(課税売上高ではない売上高)は、当然ながら、分子の「課税売上高」には含まれません。

分母の「総売上高」には、消費税のかからない売上高が含まれることになるのですが、消費税がかからない売上にはいくつか種類があり、分母に含まれるものと分母に含めないものがあります。

  1. 非課税売上高:消費税の要件を満たす取引(国内において、事業者が事業としてモノやサービスを販売し対価を受領する取引)のなかにも、政策的なねらいや、消費という概念に馴染まない取引には消費税がかかりません。
    • 政策的なもの:学校の授業料、病院の医療費、住宅の家賃
      →憲法に規定されている生存権を保障する観点から、負担軽減のため消費税を課さない
      →オフィスの家賃には(そのような要請がないので)消費税がかかります。
    • 消費という概念に馴染まないもの:土地の賃料、土地の売却価額、株式の売却価額
      →消費というと、使うことで価値が減っていき場合によっては消耗の結果消滅しますが、これらはそういうものでなく、消費という概念に馴染まないといえます。
  2. 免税売上高:輸出取引には消費税がかかりませんが、これは消費税法の考え方として、0%の消費税を課税するとします(国外で消費し国内では消費しないというだけで、それ以外は消費税の要件を充たすといえる)0%で課税しても納める税金はゼロなので、分母の総売上高に加算してもしなくても、結果は変わりません。
  3. 不課税:消費税の要件を充足しない取引には消費税がかかりませんが、これを不課税といいます。そもそも消費税の計算に関係させないものといえます。例えば、寄付金の受領です。一般的に寄付金は一方的に受領するもので、モノやサービスの提供をいう要件を欠いているので、不課税として取り扱われます。なお、経費の点でみれば、香典は同様にとらえ、不課税として取り扱われます。

以上の「非課税売上高」「免税売上高」「不課税」のうち、「非課税売上高」「免税売上高」は課税売上高計算の分母・総売上高に含まれ、「免税売上高」は総売上高に含めないということになります。整理すると、

課税売上割合=課税売上高(税抜)/(課税売上高(税抜)+非課税売上高+免税売上高)

となります。

会計ソフトに入力するときには、会計ソフトの設定で、勘定科目ごとに課税売上高・非課税売上高・免税売上高・不課税と自動的に設定するようにしている方が多いと思いますが、月次決算などの機会でチェックする際、一通り見て、そのままの税区分でいいのか、特に、経常的ではない(イレギュラーな)取引の税区分は勘定科目ごとに自動設定される税区分は当てはまらないのではないか、とテストするような感覚でチェックする必要があります。

課税売上割合は、預かった消費税から差し引く「支払った消費税(仕入税額控除)」の計算に使います。課税売上割合を間違えると、納める消費税額も間違えてしまいます。

課税売上割合を仕入税額控除にどう使うかは、回を改めて後日解説します。

(本投稿の執筆時間 40分)

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