企業にとって、記帳を自分ですることは「セルフメディケーション」

公認会計士や税理士は、企業にとっての「医者」に例えられ、
「経済社会のドクター」と言われることがあります。

私も患者として、お医者様には大変お世話になっていますが、
医者と公認会計士・税理士は似ている部分が多いと感じるので、
時々比較しています。

さて、
会計事務所には、記帳代行サービスを提供するところと、
そうでないところがあります。

当事務所では、記帳代行サービスは提供しません。
なぜならば、記帳代行サービスは、
依頼する側(会社や店)にとっては丸投げできる「ラクさ」
(メリット)がありますが、
この「ラクさ」の代償(デメリット)が非常に大きく、
会社経営にとって命とりになりかねず、
記帳代行サービスをおすすめしたくないからです。

 

デメリット1 自社・自店の経理が分からなくなる

自分のことなのに、自分で良くわからない、といった状況に
なってしまいます。

記帳代行を頼んでしまうと、なぜこの金額なのかピンと来ず、
自社の現状がどうなっているのか、問題点がどこにあるのかが、
分からなくなってしまいます。

自社・自店で、社長・店長(事業主)自ら、
あるいは役員、従業員・店員が記帳すれば、

つまり自分でやれば、すぐ理解できる上、どこを改善すれば、
将来もっともうかるか、すぐに判断できます。

自分でやれば、どの様なプロセスないし原理で損益(もうけ)や
財政状態(財産)が算出(損益計算書や貸借対照表が作成)
されるか、分かるようになるためです。

以前、公認会計士の仕事として、中小会社の財務状況のチェックに
行った際、損益の状況の説明を、経営者ではなく、税理士がしていました。

様々な意見があると思いますが、私は、違和感を覚えました。
経営に責任のあるはずの経営者がするべき損益の説明をなぜ、
経営者ではない税理士がしているのか?と。

税理士や会計士は、税務や会計、経営コンサルティングの専門家
ではあっても、経営者そのものではありません。

 

デメリット2 リアルタイムで自社・自店の状況(損益、財政状態)
が分からない

記帳代行のスピードが大分上がったとはいっても、
自社で記帳したほうが、やはり、損益や財政状態が早く分かります。
会計ソフトに入力すれば即、試算表を見て分かるからです。

記帳代行はどんなに早かろうと、記帳が終わるまで待つ必要が
生じます。このタイムラグを軽視してはいけません。

小さなタイムラグの積み重ねが、1年、3年、10年と積み重なれば
大きな差となってしまい、気が付けば小さいロスではなく、大きな
生産性の阻害要因になってしまいます。

 

昨今は、医療の世界においても、
セルフメディケーションといって、健康管理を医師まかせにせず、
自分の健康は自分で管理し、軽度な不調は自分で手当することが
求められています。
(セルフメディケーション税制もはじまりましたが、これについては
機会を改めてお話ししたいと思います)

記帳という「健康管理」を
会計事務所という「診療所・病院」まかせにせず、
自社で記帳するという「セルフメディケーション」で、
経営力の強固な(「健康な」)
会社やお店にしたいとは思いませんか?

最近はクラウド会計ソフトの普及によって、記帳がかなり楽になって
きました。自社での記帳にあたり、クラウド会計ソフトの導入も
検討してみてはいかがでしょう。
なお、当事務所ではクラウドはfreeeを採用しています。

Follow me!