個人事業主が確定申告を新年早々済ませる。これも仕事の質を上げ、自由な時間を生む「働き方改革」

令和4(2022)年分の確定申告、1月6日に終わりました。

当事務所は個人事業主としてやっていますから、所得税の確定申告をすることになります。確定申告期間は2月16日から始まり、確定申告期限は毎年3月15日(休日の場合は翌開庁日)です。

しかしながら、私は確定申告期間が始まるのを待つことなく、まして期限ギリギリなどあり得ず、新年早々確定申告書を作成し、国税庁の「確定申告書作成コーナー」から電子申告をしています。

令和4年分の確定申告書は、1月4日の「令和4年分確定申告書作成コーナー」のWebサイトオープン時から入力を開始し、1月6日に電子申告を済ませ、晴れて2023年をスタートさせることができました。

多くの個人事業主、フリーランスの方は、2月になってから確定申告書の作成を開始したり、3月15日の期限ギリギリに確定申告書を提出されているかも知れませんが、私はお勧めしません。

確定申告を新年早々に済ませるメリットは、2月や3月に確定申告をするよりも大きいからです(逆に、確定申告書の作成を2月になってから始めるメリットがよく分かりません)。

個人事業主が確定申告を新年早々に済ませるメリット

新しい年という「現在と未来」に100%集中できるようになる

これが一番大きいメリットです!

確定申告とは、すでに過ぎ去った去年のことをまとめる作業。はっきり言って過去のこと。言い過ぎかも知れませんが後ろ向きの作業です。

確定申告期限ギリギリ、例えば3月7日に確定申告書の作成を開始し、3月15日税務署に提出する場合、新しい年の始まりからすでに74日も経っています

この74日もの間、すでに過ぎ去った去年のことが頭をもたげることになります。意識的か無意識的かにかかわらず。それって、去年を引きずるスッキリしない心理状態で年始から74日間も過ごすことになってしまうのです。つまり、新しい年に全力で集中できないため、仕事の生産性が上がらないことにつながるのです。

私が、確定申告を年始早々に行なっているのは、そのような「過去を引きずったまま新しい年を過ごしてしまう」という心理状態に陥らないようにし、新しい年、今年でいえば2023年に全力で取り組めるようにするためです。

還付となる場合、早く還付金を受け取れるため、その分資金繰りが良くなる

これも大きなメリットです。

私もですが、個人事業主の中には原稿料や印税、出演料、翻訳料、通訳料、コンサルティング料、各種士業の報酬など、源泉所得税を天引きされて(源泉徴収されて)報酬を受け取る事業主もいらっしゃいます。

その場合、確定申告において税額を計算した結果、天引きされた(源泉徴収された)源泉税の還付を受けられることがあります。

確定申告を早くすれば、その分、源泉税の還付も早く受けられることになり、早く受けられた分資金繰りが良くなります。

電子申告をすると、概ね3週間以内に還付金を受けることができます。私は令和3(2021)年分は還付でしたが、2022年1月5日に電子申告をし、19日後の1月24日に還付を受けることができました。

なお、納付の場合は、申告直後に納付するのがベストですが(納め忘れをしないためにも)、納付期限3月15日までに納付するか、振替納税(所得税特有の納税方法です)の手続きを行い、4月中旬くらいに口座振替する手段もあります(令和4(2022)年分の所得税の振替日は2023年4月24日)。

振替納税は資金繰り上は有利ですが、振替日の振替直前に口座残高が不足しないよう注意する必要があります。

確定申告後に、誤りがあることが判明してもリカバリーの時間に余裕を持てる

確定申告期限は3月15日なので、確定申告が早ければ早いほど、期限までに余裕を持てることになります。

確定申告後に、申告内容に誤りが発見された場合、訂正した上で確定申告期限までに再提出すれば良いのですが、この「リカバリー時間」に余裕が持てるということです。

なお、還付金をすでに受けてしまった後に誤りが発見された場合には、税務署に相談して指示を仰ぐことになってしまうので、この点は注意が必要です。

まとめ:早いと、心理的にも時間的にも金銭的にも余裕が生まれるということ

結局、確定申告を早く済ませれば、余裕が生まれます。余裕は重要です。

ギリギリの仕事は、心理的に、精神的に追い詰められますから、ミスが生じやすいといえます。余裕があればミスも生じにくいです。経験則からご理解いただけると思います。

余裕があることにより、目の前の現在と未来に、全力で集中でき、仕事の質も上がります。

それでは、早い確定申告をするためにはどうすればいいか、私が取り組んでいることを紹介したいと思います。

個人事業主が確定申告を新年早々に済ませるための秘訣

2月や3月にまとめてやらないで、前倒しで作業をする

確定申告書と、確定申告書に添付する「青色申告決算書」(青色申告者の場合。白色申告者は「収支内訳書」)は、いずれも1年間の取引(収支)の集計です。

この、1年間の集計を、年が明けてから、しかも2月や3月にまとめてやるのは、効率的なように見えますが、そうではありません。

1年間の集計を2月や3月にまとめてやらないで、年を越す前に前倒しし、かつ集計を小分けにすることが大変重要になります。

前倒しでの作業は、毎日やるものと、「毎月の見直し」に小分けする

青色申告決算書は、会計ソフトを使って作成することが前提となりますが、会計ソフトへの入力は、毎日(あるいは毎営業日)やります。

私は、毎営業日の、営業開始直後の5分〜最大10分で、前営業日の取引をクラウド会計ソフトfreeeに入力しています(ネットバンクデータやクレジットカード、交通系ICカードの同期や、自動で経理を活用し、短時間で終了するようにしている)。

毎営業日その繰り返しです。この毎日の積み重ねが、新年早々の確定申告を可能にし、余裕をつくることにつながるのです。

そして、翌月初(毎月1日頃)に、1時間程度で前月のfreeeの登録内容をレビュー(見直し)し、修正すべきところは修正し、登録もれがあればそこで登録します。この毎月の積み重ねが、1月の青色申告決算書の作成を楽にするのです。

所得控除は10月くらいから控除証明書をまとめる

生命保険料控除証明書など、所得控除に関する証明書は、10月くらいから届き始めます。あるいは、電子申告用に控除証明書データをダウンロードできます。

これらをまとめておいて、1月4日に国税庁の「確定申告書作成コーナー」Webサイトがオープンしたらすぐに入力できるよう準備しておきます。

なお、社会保険料控除のうち、健康保険料、国民健康保険料については、控除証明書ではなく「保険料納付額のお知らせ」が届きますが、このお知らせ、年明けに届くケースが多いを思われます。私はこの到着を待たず、国民健康保険料の銀行口座振替額を年内に集計し、それを確定申告に使っています(家計収支を、事業の収支とは別にマネーフォワードMEで日々記録しているので、集計も負担なくできています)。

12月末までに未払いの経費は、請求書の到着を待たず、誤差が千円未満なら概算でも構わない

経費の中には、「月末締め・翌月末払い」などにより、購入したのは年内であっても、支払いが翌年になるものもあります。そのような経費は購入はあくまで年内であるため、年内の経費に含めるのですが、請求書の到着が1月の下旬以降になるものもあります。

請求書の到着を待っても1月末までには確定申告はできますが、私はそれを待たず、請求金額を概算して年内の経費に含め(freeeに未払いの経費「支出・未決済」として登録し)ています。

概算をどうやるかは

  • 12月分の納品書を集計する(ほとんどの場合納品書の合計が請求額となるはず)
  • スマホや固定ネットの通信費は、毎月の固定料金を登録する(これでも実際の請求額との誤差は数百円程度の僅少額なので問題なし)
  • 電気代は、生活クラブでんきを使っているが、生活クラブでんきのWebサイトにログインし、12月の使用量を確認し、単価を乗じて概算している(これも誤差百円程度の僅少額、問題なし)

によっています。

決算整理仕訳は12月の隙間時間に作っておく

私の場合は、AppleCare+の1年分を超える(2年から3年)前払保証料なのですが、この、前払分として翌年以降の経費にするために本年の経費から除外するようないわゆる決算整理仕訳は、12月の隙間時間にfreeeの振替仕訳として作っておきます。

隙間時間の活用は、確定申告においても重要です。

なお、家事按分は、freeeにあらかじめ設定しているので、再計算ボタンをクリックすればすぐに終了できます。

確定申告が終わったら、打ち上げをしたり、自分にご褒美をあげる!

そして、これが一番肝心なのですが、

確定申告が終わったら、打ち上げをしたり、自分にご褒美をあげましょう!

これが、確定申告を早く終えるためのモチベーションとして作用します。

ぶっちゃけていえば、確定申告が終了したその日が、真の意味での「年明け」としてお祝いする日です。

2022年(去年)よさようなら。こんにちは2023年(今年)!

今回はご褒美として、普段あまりお酒を飲まないのですが、地元・逗子のクラフトビールであるヨロッコビールを嗜み、以前から欲しかった、iPhoneにデータを連携できるオムロンの血圧計を自分に買ってあげました。

おわりに

2月あるいは3月まで、確定申告を待つ必要はありません。1月4日以降、確定申告書の提出は可能です。

いつも2月や3月に確定申告をしているなら、なぜいつもその時期にやってきたのか、理由を考えて、明確にしてみましょう。

理由を考えた結果、絶対に2月や3月にしなければならない場合を除いては、確定申告を前倒しできないか、前倒しするには何をすべきか、考えて、実行します。

そして、確定申告を前倒しで、1月中にやることから始めてみましょう。これを毎年繰り返すと、1月中にやるのが当たり前になり、余裕が生まれるという快感を味わえれば、さらに早めて年始早々に確定申告をしたくなってきます。

確定申告を前倒しし、心理的、時間的、金銭的余裕を生み出し、余裕があることにより仕事と人生の質が上がるという、好循環をつくっていきましょう!

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