公認会計士の日にあたって~今日7月6日は公認会計士の日
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日本には会計にかかわる資格が2つ~公認会計士と税理士~あるが。
今から72年前、1948年7月6日に公認会計士法が制定されたことから、7月6日が「公認会計士の日」と制定されました。→参考:日本公認会計士協会「7月6日は公認会計士の日」
一方、公認会計士は税理士登録をすることにより、税理士としても仕事ができますが、税理士を規制する税理士法はその原型となる「税務代理士法」が1942年2月23日に制定されており(税理士法の成立は1951年6月15日)、毎年2月23日を「税理士記念日」としています。
さて公認会計士法と税理士法。公認会計士は監査証明業務を独占業務としており、税理士は税理士業務(税務相談、税務書類の作成、税務代理)を独占業務としているという違いはありますが、会計(帳簿の作成から決算書の作成まで)というひとつの大地に2つの大木が立っているかのように、会計にかかわる資格が2つ並立しています。
「会計というひとつの大地に2つの大木が立っている」と書きましたが、会計というひとつのベースで公認会計士と税理士はつながっていると私は思っています。歴史的な経緯を読めば、資格が2つ存在することをなるほどと感じるところもありますが、それにもかかわらず、試験も資格も別々であるのはいまだに少し違和感めいたものを感じます。
実務をさっとみるだけでも、公認会計士は上述のとおり税理士業務が可能ですし、監査に関しては公認会計士のほうが幅広く担当できますが(上場会社や学校法人など)、税理士も政治資金「監査」に従事できます。そして、税理士試験の試験科目には会計士試験にはある会社法、管理会計論(原価計算)、経営学、経済学や民法はありませんが、これらの知識は税理士の方も実務上避けて通れないところです。
公認会計士監査が義務付けられている法定監査(上場企業などの監査)を除いては、公認会計士と税理士はコンバージェンス(収斂)しているのではないかと私には思えます。クライアントである企業のニーズからすると、どちらかといえば公認会計士の側への収斂です。
会計監査従事歴(1999年~現在)が長い私にとっての税理士業務は、監査のマインドがどうしても入る。
私は現在でも非常勤で会計監査に携わっているので、業界に入ってから現在まで約21年、監査現場で監査をしていることになります。税理士業務を開始してから(税理士事務所に勤務したのは2011年4月、独立したのは2012年9月)は9年ですが、会計監査従事歴が長い私はどうしても監査のマインドを税理士業務に生かしたくなります。
税理士業務において作成する税務申告書に添付する決算書。これに監査証明はつけません。監査基準が要求するような厳格な監査手続ももちろん必要なく、添付する決算書が「適正」であると証明できるものではありません。
しかし、税理士として関与するにあたり、「適正性の証明」という高レベルのことはできないものの、作成する決算書がクライアントの経営の実態と大きくかけ離れず、経営の役にたつ情報となるよう、注意しています。特に、
- 証拠書類に基づいて、会計ソフトに登録されたものが、正確に集計されているか
- 資産としてオンバランスするか経費として落とすかについて、事実とルールと論理に基づいて決めているか
- 管理システムと会計システムはつながっているか(データがつながっているか、整合しているか)
- 原始取引から会計ソフトを経て決算書まで流れているか、見通しは良いか。つまっていたり違和感を感じるような部分はないか
- 月次の推移や前期比較や移動年計を作ってみて(トレンドを分析して)異常な動きがないか
を、金額が大きいところを優先的に、そうでないところはメリハリをつけて選別して、点検しています。
そして、これらに留意した作業の結果を、書面としてまとめるのが税理士法33条の2に規定する「添付書面」です。税務申告書、税務代理権限証書とともに税務署に提出することにより、税務調査の短縮や省略につなげます。
監査業務、もっといえば監査現場での監査調書の作成をとおして身につけたノウハウやマインドをもって、添付書面の作成・提出業務に力を入れることにしています。
おわりに~決算書の質の向上は社会貢献。日本をより良い国にすることにつながると信じています。
監査証明という高レベルには達せずとも、税理士業務において「決算書がクライアントの経営の実態と大きくかけ離れず、経営の役に立つ情報となるよう注意する」ことにより、決算書の質を高め、ひいてはより良い経営判断につながるよう、意識して仕事をしています。
決算書の質の向上→経営者の経営判断の一層の合理化と、効率的な経営資源の配分・適切な納税慣行・書面添付による税務調査の負担と時間の軽減→日本経済(お金まわり、資源配分)の一層の質向上→日本がより良い国となる、社会となる。
今日よりも明日、明日よりも明後日と、よりよい社会とよりよい人生に向けて日々のあゆみを続けます。
(本投稿の執筆時間 72分)
(アイキャッチ画像は公認会計士バッジ)