生涯現役を実現したいなら、会計・経理の知識は必要です。
(新百合ヶ丘のカフェにて iPhone Ⅹ)
生涯現役は増えていく
日本においては、寿命が伸びていることもあって、人生100年と言われ始めています。
私の周りの人をみていても、すでに、団塊の世代の方を中心に、定年退職後に転職したり、さらには独立してコンサルティング業などを営んでいる人が少なくありません。そうした団塊の世代の方々を見て、私を含めた後の世代は刺激を受けて、定年という枠にとらわれずに、生涯にわたって社会に仕事を提供したいというマインドセットが出来上がりつつあるように捉えています。今後、生涯現役を達成する人は増えていくと見込まれます。
ところで、生涯現役を達成する場合、新卒の頃から勤め上げてきた会社に引き続き雇用されたいと思う方もいらっしゃるでしょうが、独立・起業したいという方もいらっしゃると思います。独立・起業すると、営業や商品・サービスの開発・製造以外にも、総務、(雇用すれば)人事、そして経理というスタッフ業務も自らやらなければなりません。会社勤めの頃には、スタッフ業務は総務部、人事部、経理部といった専門の部署に任せておけばよく、営業や製造など自らの専門分野に専念できましたが、独立すれば経営者として、スタッフ業務もやらなければならなくなります。
経営の知識とノウハウの中でも、会計・経理は三本柱の一つとして重要
独立すると経営者として、経営の知識とノウハウが必要になってきますが、三本柱として
- 開発・製造(ものやサービスのつくり込み)
- 営業
- 資金管理・会計・経理
を、挙げることができます。
多くの経営者の方は、開発・製造、営業は得意なので自分でやる方が多いのですが、資金管理・会計・経理は、数字にアレルギーや苦手意識を感じたり、面倒に感じるかたが少なくなく、特に会計・経理を会計事務所(税理士や会計士)に(記帳代行というかたちで)丸投げする方が多いという現状があります。
なお、会計・経理は、言葉は違いますが、意味するところに大きな差はなく、いずれも、会計ソフト(会計帳簿)に取引を記録して、集計して、税務申告書や決算書を作成し、決算書に表現された損益や財務状況の情報を経営陣や投資家に報告する一連の業務を意味します。
会社には「経理部」があること、また「お会計」という言葉は、お店で一般的に交わされることから、いずれも馴染みのある言葉といえますが、「経理」という言葉の方が専門的なニュアンスがあります。また、経理とは「経営管理」の略です。だからこそ、会社では経営管理の基本部門として「経理」部という言葉が用いられているといえます。
話を戻すと、経理とは経営管理を意味しますから、それを会計事務所に(記帳代行というかたちで)丸投げすることは、経営管理を放棄する(乱暴な表現ですが、あえて言います)ことといえます。
会社の財産は資金だけではなく、売掛金もあれば、設備もあれば敷金・保証金もあれば不動産や株式もあります。資金を含めた全ての会社財産を有効活用して、毎期利益を獲得していくために、経営管理=経理をするのです。
資金の出入りの管理は確かに重要ですが、資金の出入りの管理だけでは不十分で、会社の財産がどのような状況にあるか、十分把握して初めて、毎期利益を獲得できる、安定した経営が可能となるといえます。
自ら経理=経営管理をしていき、積み重ねていくことによって、数字にも強くなっていきます。この肝心な部分を丸投げ=放棄してしまっては、営業や開発・製造や人事には長けていても経営者としては十分ではないといえます。お金や財産、損益を管理できて初めて経営者として成長できるといえます。
会計・経理が分かれば自由がきき、選択肢が増える
自分の人生の主導権は、自分にあります。他人に、自分に代わって自分の人生を生きてもらうことはできません。
ところが、自分の会社やビジネスなのに、その財務状況や損益の状況を自分が理解できない、そのことによって、会社の主導権を会社にとっては(取引先ではあっても)身内ではない会計事務所が握ってしまうということが起こりえます。
会計・経理を自らやって、理解していけば、自社のことがよく理解できます。会計士や税理士といった専門家には、会社の経理そのものを丸投げして任せっきりにするのではなく、経理をしていくうえでのアドバイスを求める、経理上(会計上、税務上)問題点となる事柄について解決策や代替案を提案してもらう(決断は経営者が行う)という利用の仕方を強くおすすめするところです。
他者に任せっきりにすると、その他者に首根っこを掴まれたような感じで、面倒から一時的に解放されることはあるのでしょうが、かえって自由がきかなくなるといえます。重要な部分が理解できないと、良い意思決定をしにくくなるともいえます。
最後に、生涯現役をより良いものにするためにも、主導権を自分にとどめて、自由に動けるように、より多くの選択肢を選択しうるようになるためにも、他者への丸投げはやめて、自ら経理に取り組んでいきましょう。専門家はコーチと同じで、アドバイスを求める利用の仕方で。
(本投稿の執筆時間 55分)
【一日一新】
2018年6月10日(日)
稲村ヶ崎食堂(稲村ヶ崎には何度も行っていますが、入ったのは初めてでした)