不正には毅然としてNoと言います!~会計と税務と監査は密接不可分

(世界を見つめて~不正のない、適正な会計で企業を防衛しているからこそ、世界へ羽ばたけるといえます)

会計は経営実態を適正に表現するものでなければなりません

会計(「経理」とほぼ同義なので、ここでは「経理」という言葉を用いず「会計」という言葉を統一的に使います)は、税務(税金計算)の前提です。

さらには、会計の結果作成される貸借対照表の純資産の額に基づいて配当の金額を計算し、損益計算書によって業績を把握し、月次、週次、日次の貸借対照表・損益計算書のデータによって、企業の経営実態をリアルタイムに把握します。

もし、会計が適正でない、すなわち不正なデータが紛れ込んでいたり、重要な事実が反映されていないとしたら、その不正なデータが紛れ込んだ会計データにもとづいて、企業の経営実態を誤って判断してしまうこととなります。

さらには、かかる不正なデータが紛れ込んだ会計データに基づく決算書によって税金が計算されると、税金の計算を誤りますし、

銀行の融資の判断に利用されれば、与信判断を誤り、融資が実行されてしまい貸し倒れることとなります。

実在性と網羅性を確保することが会計にとっては極めて重要

さて、公認会計士として監査業界にいるときには、監査の際、「架空売上」と「経費の除外」がないかどうか徹底的にチェックすることとなります。架空売上も経費除外も、本来は(それほど)儲かっていないにもかかわらず儲かっているように見せかけるものであり、監査上は「利益の過大計上」を最も嫌うからです。

一方、税理士として税務業務をしているときには「売上の除外」「架空経費」がないかどうか徹底的にチェックすることとなります。税金を払いたくないというインセンティブがあまりにも強く働くと、税金計算の基となる利益(ここでは、税務申告書上の「所得」とほぼ同義ととらえて構いません)を少なくするため、存在しているはずの売上をわざと会計データに含めなかったり、存在しないはずの経費をわざと会計データに含めてしまう傾向がどうしてもあります。税務上はこの「利益の過少計上」を最も嫌います

ここまでお読みになった方であれば、お察しがつくと思いますが、企業会計においては、

  • 存在するものを「存在しないもの」としてはならない
  • 存在しないものを「存在するもの」としてはならない

のです。利益というものは、実在する取引事実のみをもれなく反映したものでなければならないのです。そうでなければ、経営判断も税金の計算も誤ってしまうばかりでなく、銀行など会計データを利用する第三者も取引の判断を誤ってしまいます。

ここで、存在するものを「存在しないもの」としていないかどうかについては網羅性の問題です。存在するものすべてが、一つたりとも除外されることなく、会計データに含まれているか否かです。売上除外や経費の除外に対応するものです。

存在しないものを「存在するもの」としていないかどうかについては実在性の問題です。存在しないものは会計データに含めてはいけないということであり、架空売上や架空経費に対応するものです。

会計データと、会計データに基づく決算書(貸借対照表、損益計算書)は、実在性と網羅性が確保されていることが基礎になります。

公認会計士や税理士を、企業外部の「第三者」として不正発見に活用してみてはいかがでしょうか。

公認会計士と税理士は、企業から独立した「第三者性」を持っていること。さらには行政や投資家など企業のステークホルダー(利害関係者)からも独立し、公益性をもって仕事をするという特徴をもっています。

企業の内部にも、会計データを会計システムに入力する担当者と、会計データのもととなる実際の取引をする担当者とは分離するという体制(職務分離による相互牽制)を整え、不正を抑止する効果を持たせていることがありますが、企業内部の力学関係だけでは、不正を抑止することには限界があります。特に日本のサラリーマン社会によく見られる「上に逆らわず」文化においては、です。

そこで、企業にとっては「第三者」である公認会計士や税理士を、不正抑止や不正発見に活用するということが考えられます。会計監査はその典型的な業務ですが、より広くとらえ、企業の内部管理体制に不備がないか、内部管理体制が設計したとおりに稼働しているかの点検にも活用できます(不正抑止についてのコンサルティングです)。

社長ひとりだけの会社にあっても、公認会計士や税理士という「第三者」の目線があれば、いい意味で「見られている」というプレッシャーを感じながら会計をできると思われます。

税理士業務は、不正の発見を主な業務内容とはしないものの、税理士業務を請け負った以上は、申告内容の適正性、適法性に責任を持つこととなるので、不正がないかどうか目を光らせるものです。

もちろん、不正が紛れ込まないような会計を行うのは、企業・経営者の責任となります。

おわりに

当事務所は、お客様を大切にすることは勿論のことですが、お客様と同じくらい、社会を大切にしています。社会をよりよいものにしたいので、不正には断固としてNoと言います。粉飾決算と脱税とその他すべての不正行為にNoと言います。

社会をよりよいものにしたい、と考える方と一緒に仕事をしたいと、心より願っているところです。

(本投稿の執筆時間 75分)

 

 

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