Excelで必ず覚えたい「値」と「書式(表示形式)」

はじめに〜Excelは電卓以上に重要なツール

新型コロナウイルスの影響によってテレワークが普及するよりも前から、クラウドを活用したペーパーレス実務が定着してきていましたが、2020年も終わりに差し掛かった今、Excelは電卓以上に重要な「ツール」で、経理のような数字を扱う専門職種にとどまらず、営業や製造を含め、ビジネスパーソンにとって使いこなすことが必須のツールではないでしょうか?

昔でいえば電卓と方眼紙とペンの機能を、ソフトウェアという形に集約して集計を楽にしたばかりでなく、多彩な関数の機能をも組み込み、会計ソフトにインポートもできる、高い利便性を持ち、生産性の向上に役立つツールがExcelです。

一方、(私見ですが)Excelは義務教育でふれる機会が今のところあまりなく、そのスキルアップは企業研修や実務経験や独学に頼るところが大きく、その使いこなし方には個人差が大きいです。当事務所のお客様のExcelシートを拝見しても、お客様によってスキルに大きく差があるのを感じます。

経営者や個人事業主としても、経理はもちろん、数字で経営管理を理解する必要から、Excelは避けて通れないところです。そうであるならば、Excelの機能やノウハウを学んで、これまでの電卓のように使いこなせるようにしませんか?

私は、不定期にではありますがExcelについても投稿していこうと思っており、今回は特に初歩の初歩として、Excelに入力されたデータ(数字や文字)の見え方・見せ方を理解するのに必要な「値」と「書式(表示形式。以下本投稿では単に「書式」という)」ついて投稿します。

「値」と「書式」の違いを覚えよう

「値」は「中身」、「書式」は「箱」

上のExcelの画像は、つくりたてのシートのA列にキーボードで数値をそのまま入力し、B列にはA列と同じ数値を入力して「書式」を(「標準」以外に)設定したものです。

(A列のようにつくりたてのシートに数値をそのまま入力すると、書式は「標準」という書式になります。「標準」は「特定の書式を指定しない」という「書式」であり、入力した数値がそのままの形で表示されます)

A列は入力した数値がそのままの形で表示されていますが、この入力した数値そのままの姿を「値」といいます。「データ」とか「生データ」ということも多いです。

B列は入力した数値をそのままの形で表示せず、つまり「裸」ではなく、あたかも「レンズみたいな、中身の見える透明度の異なる箱」をかぶせたように、数値の見え方(見せ方)が変わっています。

B列では「書式」を設定することにより、値の見え方(見せ方)を変えているのです。

まとめると、中身である「値」の見え方(見せ方)を、箱である「書式」で変える、ということです。

半透明の箱(書式)を通して、中身(値)が見えているイメージです。

中身を変えずに、箱を変えてみます。

箱(書式)だけ半透明の緑色の箱に変えてみました。中身は変えていないのですが、箱(書式)が変わると見え方が変わるということをイメージできましたでしょうか。

書式の具体例1:数値(桁区切り(,)を使用)

書式を設定するとセルB3(B列の3行目。以下同様に表記)の赤枠のとおり、千の位と百の位の間にカンマ(,)が入ります。

A3セルは特定の書式を設定しないという「標準」書式であり、この場合のホームタブの「数値」の上のボックスには、下の画像の赤枠のように「標準」と表示されます。

書式を設定するには

  1. Ctrlキー+(数字)1キーで「セルの書式設定」ボックスを出し、
  2. その「表示形式」タブをクリックし
  3. タブの中の「分類」の中の「数値」を選択して、
  4. 「桁区切り(,)を使用する」のチェックボックスにチェックを入れ(以上、下の画像の赤枠を参照)
  5. 右下のOKボタンをクリックします。

上記のように書式を設定すると、ホームタブの「数値」の上のボックスには、下の画像の赤枠のように「数値」と表示されます。

値として何が入っているか、F2キーを押して確認する習慣をつける

書式を設定したB3セルにカーソルを置いてF2キーを押すと、赤枠の中のように、桁区切り表示がなくなり、値そのものが表示されます。なお、その際にExcelウインドウの左下をみると下の画像の赤丸内のように「編集」と表示されます(この状態を「編集モード」といいます)。

Excelでは色々な書式(箱)を設定できるので、もともと入っている(中身である)値(データ)が何であるかを知らないと、Excelの計算式や関数で値(データ)を集計した場合に

「あれ!?イメージした答えは◯◯なのに、何で合わない(orズレる)んだ??」

と、思わぬ事態と思って焦ってしまうことがあります。

これを予防し改善策を考える初めの一歩とするため、セルでF2キーを押して値(中身)を確認する習慣をつける必要があります。

書式の具体例2:数値(小数点以下の表示)

セルA5とセルB5は同じ値(7.5638)が入っていますが、書式を「数値・小数点以下の桁数1」に設定しているセルB5では”7.6″と表示されています(小数点第2位以下は四捨五入されて表示しています)。

この書式を設定するには

  1. Ctrlキー+(数字)1キーで「セルの書式設定」ボックスを出し、
  2. その「表示形式」タブをクリックし
  3. タブの中の「分類」の中の「数値」を選択して、
  4. 「小数点以下の桁数」のボックスを「1」として(以上、下の画像の赤枠を参照)
  5. 右下のOKボタンをクリックします。

書式を設定したB5セルにカーソルを置いてF2キーを押すと、もともと入っている値7.5638が表示されます。F2キーを押すことで、書式設定によって表示されていない小数点第2位以下が全て表示されることになります。

計算が合わない?と焦ってしまう前に。書式の設定で合わないように見えてしまっていることを確認。

下の画像のA列(赤枠)は、A1セルとA2セルの合計値をA3セルに表示しているのですが、3.9+4.2→8.2となっています。

一目見ただけでは「あれっ?3.9+4.2=8.1になるはずなのに何で合わないんだ??」と思ってしまいますね。

ここでは、A列の書式設定を全て「数値・小数点以下の桁数1」にしていて、A1セルは数式によりB1セルの値を入れ、A2セルには数式によりB2セルの値を入れています。A3セルは数式でA1+A2と入力して合計値を入れるようにしています。

B列は書式設定をしていません「標準」書式のままにしています)ので、B1セルとB2セルには入力した値がそのまま表示され、B1セルとB2セルの合計を計算式(=B1+B2)で入力したB3セルは計算結果がそのままの値として表示されています。

A3セルでは、本来の合計値が8.1567となるべきところを、書式設定により8.2と(四捨五入されて)表示されている、ということになります。

このように書式設定により見た目が「合ってないように見えてしまう」ことがありますので、一目見て合っていない場合には、

  1. F2キーを押すことにより入力されている値(中身)や数式を確かめる必要があります。
  2. また、Ctrl+(数字)1を押して「セルの書式設定」ボックスを出してどのような書式が設定されているかを確かめる必要もあります。

さらに、書式設定する際にはこのことを意識した上で(見た目も合うように注意して)書式設定をする必要があります。

さらに、これら数式の内容については「Ctrl+Shift+@」の同時押しで下の画像のように確かめられます。初歩超えのテクニックですが「Ctrl+Shift+@」で入力されている内容を確かめることも必要になってきます。覚えておくことをお勧めします。

書式の具体例3:文字列

A7セルにもB7セルにも1234という値を入れていますが、A7セルは書式を設定せず、B7セルは書式を「文字列」に設定しています。文字列に設定すると数値でも(デフォルトで)左寄せに表示されます(赤枠内参照)。

書式を文字列に設定するにはCtrl+1で「セルの書式設定」ボックスを出して設定しても良いのですが、ここでは簡便的にホームタブの「数値」の上のプルダウンボックスの中から「文字列」を選択します。

B7セルにカーソルを置いてF2キーを押すと、もともと入力されている値を見ることができます。下の赤枠内はF2キーを押した状態ですが、値が右寄せで表示されており数値が入力されていることが理解できます。

書式の具体例4:日付

書式の具体例の最後は「日付」です。A9セルにもB9セルにも43001という数値を入れていますが、A9セルは書式設定なし、B9セルは書式設定を「短い日付形式」としました。

ここでの書式設定は、ホームタブの「数値」の上のプルダウンボックスの中から「短い日付形式」を選択しました(下の画像参照)。

書式を「日付」に設定すると、F2キーを押しても元の数値は表示されず日付表示のままになります。

Excelでは日付データを数値で管理し、書式で見た目を日付として見せる。

ここはExcelのツボともいえますが、Excelというアプリでは日付を1900年1月1日からの日数で管理しています。日付のまま管理してはいないのです。

ここでの例でいうと、43001というのは1900年1月1日から43001日目ということになります。

この1900年1月1日からの日数を示す数値をシリアル値といいます。Excelではシリアル値に書式設定をして、日付として見せるしくみになっています。

これを知っておくと、Excelの動き(「挙動」とよくいわれますが、反応とか応答といってもいいと思います)がよりしっくりと分かるようになります。おすすめの知識です。

まとめ〜最後にもう一つ

Excelは表計算アプリ(ソフト)です。表形式のシートに数字を入力して、計算式や関数を使って計算や集計をします。また、作表のみならず、棒グラフや折れ線グラフや円グラフなど色々なグラフを作成する機能もあります。電卓を遥かに超える機能を持っています。

Excelを電卓以上に使いこなせるようになる初歩の知識として、Excelでの値の見え方についてお話ししてきました。

「中身」である「値」と、「箱」である「書式(表示形式)」

「箱」にはさまざまなものがあり、「箱」を変えることによって「中身」の見え方が変わるように、

「値」が入力されたセルに「書式」を設定することで、「値」の見た目が変わります。桁区切り、小数点以下第◯位までの表示、文字列、日付など。

Excelが初めてだったり、Excelを長いこと使っていて慣れているつもりでもExcelがとっつきにくいものと感じている方にとって、「値」と「書式」が分かるようになると、よりExcelを身近に〜電卓のように扱いやすく〜感じられるようになると思われます。

最後にもう一つ。

ExcelのスキルやExcelで分からないこと、Excelでしたいことについては、今や、Googleなど検索エンジンで検索すれば膨大な数の解説サイト(文章、画像、動画などのコンテンツ)が表示されるようになりました。

必要な知識は、セミナーや授業を受けて学んだり、本を読んで学んだりする以外にも、ネットで無料で得ることもできる世の中になりましたから、今更ながらですが分からないことはまずは検索エンジンで検索してみるのが良いでしょう。

ネット上の知識は宇宙空間的に膨大な量がありますから、自分にとって分かりやすい表現がされている知識を楽に見つけられるとは限りませんが、

さまざまな情報に触れる、浴びることによって、自分にとって分かりやすい知識の「嗅ぎ分け方」を身につけて行くのが良いと思います。

もちろん、昔から存在する勉強法である「セミナーや授業」「読書」「OJT」を併用して、自分の中に体系化していくことも重要です。

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