「記帳指導」ではなく「会計ソフト入力のインストラクション」をします。
会計士や税理士は会計のインストラクター
会計ソフトに入力すること、銀行やクレジットカードのデータを会計ソフトに連動すること、入力されたデータをチェックすること、データの集計結果である試算表、月次推移表をレビューすること、そして決算書を作ったり、利益計画をつくること。これら一連の会計業務の流れは、スポーツに似ていると感じています(昨年からマラソンを始めたから、というのもあるのか、一層そう思うようになっています)。
入力とそのチェックという素振りやジョグのような基礎練習的な要素、試算表や月次推移表のレビューは練習試合(ビジネスは常に本番なので練習試合にたとえるのはふさわしくないかもしれないが)、決算書作りは公式戦、利益計画は、将来の「選手育成計画・プログラムづくり」というふうに、スポーツになぞらえることができます。
だとするならば、会計士や税理士は、企業(法人企業にとっても個人事業主にとっても)のインストラクターと捉えられます。
「記帳指導」という言葉は好きではない
会計士業界(監査法人)では聞かなかった「記帳指導」という言葉、税理士業界では今もよく耳にします。私はなぜこの「記帳指導」という言葉を好きになれないのか、まとめると
- 「指導」に強制させるような、強制させられるような響きがある
- 「指導」には「やらされる感」「やらされている感」がある
- 「指導」は偉そう、上から目線を感じる
- 「指導」は「行政指導」という言葉の印象が強く、固い・融通がきかないお役所イメージが強い
- 「記帳」という言葉には「紙の帳簿にペンや鉛筆で記入する」という響きがあるが、ITがすごいスピードで進化し続ける中、「記帳」という言葉には時代遅れな感覚が日々強まっている(紙の帳簿への記入に代わって、パソコンの会計ソフトへの入力が主流になってきています)。
- 紙への「記帳」よりも「会計ソフト入力」のほうが効率的に計算・集計ができ、生産性が高まるが、結局のところ「記帳指導」は、昔の非効率なやり方を強制させられるようなイメージが強い
今後、テクノロジーのさらなる飛躍的な進化と、テクノロジーの利用による圧倒的な生産性の向上をイメージすると、どうしても「記帳指導」という言葉には、テクノロジーのメリットを享受しようという姿勢に欠けるように感じてしまい、私は抵抗を感じます。テクノロジーのメリットを自ら、自発的に受けることによって、生産性を高めて働く時間(会計ソフトへの入力や決算書、確定申告書の作成は「仕事」です)を削減し自由な時間を増やせることを考えると、「記帳指導」的な概念や感覚は早く捨てて、より進んだ考え方をしたいものです。
まだまだ耳にすることがありますが当事務所では「記帳指導」を死語にします
代わりに「会計ソフトの入力のインストラクション」「会計業務のコンサル」という言い方をします。「コーチ」という言葉も思い浮かびましたが、「指導」よりは「まし」ながら、運動部的上下関係を強く感じてしまい、なんかイマイチです(「コーチング」というのは今もよく耳にしますが)。
会計士・税理士と経営者(法人の役員であれ個人事業主であれ)は、対等なパートナーだと私は捉えています。運動部的だったり上司と部下的な上下関係ではなく、対等な相互の信頼関係がベースです。「インストラクション」「コンサル」は上下関係の響きが感じられない中立的な言葉だと思っています。
また、スポーツジムのインストラクターと同じように捉えていただければいいと思っています。積極的に「インストラクション」「コンサル」と(「記帳指導」から)言い換えてまいります。
(本投稿の執筆時間 60分)
(アイキャッチ画像は、新百合ヶ丘マプレの桜。2019/3/31撮影)