公認会計士試験では「合格」のほか一生ものの「文章力」と「論理力」も身につく!(後編)

公認会計士試験に合格された皆様、おめでとうございます!

今日は公認会計士試験の合格発表日でした。私は旧試験制度だった19年前、1999年の10月に合格発表を霞が関に見に行きましたが、合格というのは、やはりとても嬉しかったとともに、もうこれ以上あの過酷な試験勉強をしなくて良いという意味で、心底ホッとしました。監査法人への就職も合格を条件に決まっていて、就職への道が開かれたこともあります。

しかしながら、同時に、実務をやっていけるのか、という不安もありました。長時間残業に難易度の高い仕事に、ついていけるのかという不安でした。

現在では働き方改革の旗印のもと、長時間残業を是正する動きも見られますが、仕事の難易度に関しては、私が業界入りして以来19年、上がる一方でしたので(現在の「会計監査六法」の前身は「監査六法」という、「会計監査六法」よりもコンパクトなものでした。それだけ、会計・監査の実務指針や基準の文章量が少なかったということです)、今後も上がり続けます。

IFRSを意識した日本の会計基準の進化や毎年の税法の改正、実務の現場におけるITやAIの活発な活用と、公認会計士試験に合格してからは、試験勉強の枠にとらわれないさらなる勉強が求められるところです。

徹底した計算の練習と試験で培われた「論理力=計算過程力」は実務のベースになっています

前置きが長くなりましたが、前回のアップで「文章力」について書きました。文章力と論理力は同じものを意味する部分もかなりあるのですが、私は「論理力」には「計算過程力」という、計算プロセスや計算の流れといったものを含むと考え、別に書いてみました。

財務会計論でも管理会計論 (原価計算)でも計算の答案作成のために、下書き用紙に計算のフローを書いたと思いますが、公認会計士試験に合格したということは、この計算のフローが体に染み付いているはずです。

実務では監査クライアントの計算の妥当性を検討するため、会計基準に準拠して自ら再計算することもあります。また、内部統制の監査においてはフローチャートなどを用いて業務プロセスを、内部統制の有効性という観点から検討しますが、いずれにおいても、フローやプロセスが重視されるもので、その「計算過程力」というべきものの基礎は、公認会計士試験の計算にあるといえます。

実務では答案用紙ではなくて、パソコン上でExcelでドキュメントを作成していきますが、計算という点では答案用紙よりもずっと効率的で生産性が高く、体に馴染むのも早いと思います。

おわりに〜「さらなる勉強」に生きる・活かせる公認会計士試験突破のノウハウ

公認会計士試験に合格したということは、人生の一時期に超集中して猛勉強して、文章力と論理力=計算過程力を身につけたといえます。

合格証書やバッジ(公認会計士登録すると着用できる)という「シンボル」ではなく、仕事の「ベース」となるものが血肉となったのです。

合格した今後、これを実社会に活かしていくことが求められるとともに、これはさらなる勉強に生きてきます。

最後に、実務では様々なことが起こりますが、何があっても自信だけは失わないようにしましょう。

自信を持つということは資格や肩書を盾に威張ったりすることとは全く違います。試験勉強という困難を乗り越えて心身に確かなベースを作りあげたという、静かな達成感、確信です。

(本投稿の執筆時間 60分)

 

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