監査実務はノウハウの宝庫!
公認会計士2次試験に合格した1999年10月、今の業界に入りました。
厳密には、監査業界、会計業界、税務業界、コンサル業界と分かれるのでしょうが(厳密に分けると、税理士事務所に勤務しはじめたのは2011年ですから税務業界入りは2011年ということになりますが)、
お互い密接に、不可分といっていいほど関連する業務である以上、キャリアへの入り口が異なるというだけで、これらをあえて分けないというのが私のとらえ方です。私の入り口は、公認会計士&監査法人でした。
確かに、税理士資格のみで上場企業などの法定監査には従事できませんし、公認会計士資格のみでは税理士業務はできませんが、税理士であっても月次巡回監査をしていますし、公認会計士は税理士登録できますし、どちらも簿記・会計という共通の地盤に立っている業務である以上、公認会計士と税理士とは密接不可分な間柄です。
さて、公認会計士2次試験合格後、どこに就職するか、様々な選択肢がある中(必ずしも監査法人とは限らず、税理士法人やコンサルティング会社や上場会社(経理、財務、経営企画など会計数値を扱う部門がメイン)も選択肢)、私は監査法人に決めました。中央監査法人(当時)から内定通知を頂き、ご縁と思い、決めました。
なぜ監査法人をキャリアの入り口として選択したのか、確かに、2次試験合格後、監査法人を最初の就職先に選ぶひとが過半であり「長いものに巻かれる」ところもありました。また、3次試験の科目に「監査実務」があることから、「監査法人で監査実務を経験しなければならない」という義務感のようなものも少しはありました(今振り返れば、公認会計士=監査が成り立つとは限らない以上、かならずしもキャリアの最初は監査法人でなくとも良いと思います)。
しかしながら、上場会社の監査実務は、監査法人でなければ経験できないので、経験してみたいという気持ちがありました。
上場会社のような大企業では、どのような実務をしているのだろうか
上場会社のような大企業を対象とした監査業務はどのようなものだろうか
大手監査法人であれば、OJTや研修制度も、しっかり設計されていそうで、キャリアの設計に役立つうえ、多くを習得できそう
大手監査法人のシステマティックな仕事のノウハウを吸収したい
という気持ち、好奇心からくる気持ちが結構強かったように思います。
他人との比較はさておき、自分としては、物事はロジカルかつシステマティックに進めたい性質を持っていると認識しています。大学でも、比較的、論理学の講義は集中して聴いていましたし、法的三段論法(大学は法学部ではなく総合政策学部であり専攻対象外であったが、公認会計士2次試験で通った大原簿記学校の授業中に教わったと記憶する)はしっくりくるものを感じました。
そして、ここが肝心なところですが、
大手監査法人の先輩方の作成した監査調書類
往査するクライアントではあらゆる書類を閲覧できるのでその書類の書きぶりや構成
各種ミーティングで議題に上がること
事務所内研修など、
監査法人、監査実務はノウハウの宝庫でした。もちろん、あれから10年以上経過し、ITの進化が凄まじく、当時のノウハウが必ずしも通用しない部分はありますが(現在では当時よりもはるかにITスキルが重視されている)、最初の職場である中央監査法人で体得した仕事のノウハウ、とくに作成する書類の流れを意識して作成・整理すること、クリーンデスク、文章の構成については、現在に生きています。
ただ、反省・改善する点もあります。時間管理と生産性の向上です。これについては、私は、監査法人において十分に体得できませんでした。
監査法人は長時間勤務がスタンダードになっています。睡眠時間も削減します。疲労もたまり生産性が下がります。定時で帰宅する職員はゼロです(定時が無いかのようでした)。残業代と時間をいくらでも投入できるという望ましからぬ暗黙の了解があります(もちろん、監査報告書には提出の期限があるのでそれまでに監査業務を終了させることが前提なのですが)。
働き方改革に例外はないので、監査法人でも何らかの方策を立てて実行しているようですが、私としても、時間制限をつけるとか、タスクリストを作ってその通りにタスクを進めるなど時間を有効に活用し、単位時間当たりの生産性をアップしなければならないと思い、その工夫をこれからも重ねてまいります。
(本投稿の執筆時間 55分)