法人税の申告書、DIYのすすめ!
今日は、地元の川崎西税務署で、法人会と税務署が共催している「決算法人説明会」で講師を務めました。法人税の確定申告書を作る上での留意事項を中心に一時間程度の講演です。
この「会社の決算・申告の実務」という法人会のテキストは、64ページという薄さながら、多くの会社に当てはまる事項が詳細かつコンパクトに解説されています。
一方で、法人税法特有の専門用語がどうしても登場し、
また、中小企業には馴染みのない(上場企業には当てはまる)と思われる業績連動給与や、このテキストのターゲットになるであろう新設法人にとっては詳細に過ぎる平成24年3月31日以前に取得した減価償却資産の減価償却の解説など、開業したての中小企業には内容が濃過ぎるきらいがあります。不特定の多くの会社にとって役立つ内容にしているのでしょう。
所得税の申告に比べると、法人税の申告は、どうしてもハードルが高くなります。まず、必ず決算書〜貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書、個別注記表〜が必要となること、すなわち複式簿記の知識が必須になること。
そして、法人税の確定申告書は、所得税のそれに比べると、書くべき枚数も、仕組みの複雑度もどうしても増してきます。
決算書の当期純利益に、法人税上加算しなければならないもの、減算するものをそれぞれ加算、減算して課税される所得金額というものを計算するプロセスがあり、さらに、その計算に関連して、税務上の貸借対照表というべき法人税申告書別表五(一)を作ることになるうえ、付属する別表が結構あるからです。
今日の講演では、テキストでは明記されていない別表の種類も述べましたが、別表自体を配布資料にしていないうえ、書き方まで説明する時間がないので、苦しさを感じました。会社設立後初めての決算を迎える方が主な受講者だと思うのですが、ある程度簿記や税務申告書の基礎知識のある方が前提となっている感じになってしまいました(私の説明の不十分さもあるとは思いますが・・・)
理想的には、複式簿記の復習をしつつ、決算書の作成方法から入って、税務申告書については「別表」の書き方を設例付きで教えることができればいいのではないかと思っています。
法人税申告書は所得税より複雑ながらも、多くの中小企業の法人税申告書は、加算・減算項目があまりないので、最初は時間をかけて、2回目以降は慣れでより早く、税理士に依頼することなく自力で作ることもできます。
むしろ、最初は自分でDIYしてみた方が、決算書の仕組みや税金の仕組みがよく分かって、プラスになると思います。
DIYしてみて、間違っていないか、不安を感じれば、税理士にスポットでチェックを依頼すればいいと思います。最初から税理士に「丸投げ」しない分、税理士のチェック内容や言うことをよく理解できるのではないかと思います。
DIYのナビゲーターとしての良書もあります。井ノ上陽一「新版 ひとり社長の経理の基本」
とはいえ、この本のように、会計税務の専門家ではない経営者や従業員が、自力で申告書を作るための書籍はまだまだ少ない気がします。類書がもっと多く出版された方が良いように思います。
私も、法人税申告書のDIYという、思考を停止せず考えながら自力で作る作業を支援するため、スポットで相談に乗りたいと思っています。また、DIYに役立つセミナーを開催して行きたいと思っています。
〈一日一新 Today’s New Thing〉
12月6日(水)
武蔵中原「鈴や」海鮮鍋、刺身、川崎産ハーブソーセージいずれも美味!
(本投稿の執筆時間 55分)