融資を上手に受け、活用しよう~設備投資資金編
借入金を設備投資の支払代金に充てる
飲食店では厨房設備、フロアの内装、椅子やテーブル。小売店ではディスプレイ用の設備というように、ビジネスの内容にもよりますがビジネスをするにあたっては設備投資が必要な場合が多々あります。
設備投資の資金は、まずは自己資金をベースとすべきものの、自己資金だけで賄いきれるとは限らない。改装など設備を更新(古い設備を処分(除却)して新しいものを導入すること)するにあたっても同様です。
そこで、不足する部分は融資を受けて調達することを検討します。
後ほど述べますが、借りた資金を契約どおり期日に返済できるかが問われますので、毎年の売上、利益、資金の説得力のある合理的な計画=事業計画をつくることが必要になってきます。貸す側の銀行や信用金庫としては、元利の返済のあてのない先に融資はしないものです。
一方、銀行や信用金庫にとって融資はビジネス。返済のあてがあれば、積極的に貸そうと考えます。
毎年の利益が毎年の支払利息よりも多いと見込めるのであれば、ないしは、ビジネスの毎年の利回り(ここでは「投資利益率=利益/設備投資額」とします)が借入の年利率を超えるならば、あたかもテコのように(レバレッジ効果と呼ばれます)、融資で調達した資金を設備投資に活用していくことも合理的といえます。
設備を事業に使いながら長期に渡って完済していく
設備投資のための借入は、通常は1年を超える長期になります。融資の内容(商品)にもよりますが、平均的には10年程度の長期にわたって融資を受けられることが多いです。ビジネスの種類にもよりますが、設備の使用可能期間にわたって融資を受けられると捉えて良いと思われます。
返済の原資は、毎期(毎年)の売上から経費(会社なら役員報酬を含む人件費、個人事業主なら生活費に充てる「取り分」を含めて考える)を差し引いた利益をベースとし、この利益に(経費である)減価償却費を足した金額が原資となります。つまり、
- 返済の原資=利益+減価償却費
となります。減価償却費は現金の支出を伴わない費用(過去の設備への支出を、耐用年数にわたって毎期の経費に配分しているもの)なので、利益よりも減価償却費分は現金を多く獲得していると捉えられるからです。
すなわち、返済の原資を確実に得るためには、利益は少なくともゼロ以上獲得する必要があるといえます(赤字を出さないということ。赤字は減価償却費分の現金を食いつぶします)。当然のことといえば当然のことですが、毎期しっかり利益を獲得していくことが求められます。
長期の事業計画が必要
長期の売上、利益、資金の予想は「長期に渡って返済できますよ」ということを銀行や信用金庫にプレゼンテーションするのに必要なことです。この予想を、事業計画書として資料(文書)に表現していくのですが、将来の予想は、簡単ではありません。
それでも、(あれば)過去の実績や、人口や駅の乗降客数や経済指標などの統計資料を読みながら、可能な努力をすれば達成可能な、説得力のある目標としての計画を立てる必要はあります。
1年先は読めても10年先を読むのはかなり困難かも知れませんが、遠い先ほど不確実性が高いので、毎年事業計画を見直して修正していくということも必要になってきます。
その上で、毎回の返済を約定どおりに積み重ねていき、必要に応じて銀行や信用金庫と適宜、近況についてのコミュニケーションをとり、情報交換をすることとなります。
おわりに~低金利の今はビジネスのチャンス
最近、大手不動産会社が、国内最長となる50年の社債を100億円~150億円、金利1%台前半で発行するというニュースを見ました。低金利の今、有利に資金調達できる機会を捉えてのことと思います。
資金調達の需要が高ければ(お金が不足していれば)金利は高くなり、低ければ(お金が余っていれば)金利は低くなります。お金が余っている今は有利な金利で借りやすいのでビジネスのチャンスともいえます。これは稼げそうだというビジネスモデルを考えついたならば、融資を活用しない手はない時代かも知れません。
(本投稿の執筆時間 70分)