スポット相談か、それとも顧問契約か

税理士への仕事の頼み方として、顧問契約を締結して、毎月あるいは、少なくとも四半期に一回、定期的に訪問してもらい、アドバイスを受けたいという企業の方もいらっしゃれば、

自社ですべて対応できる、あるいは、自分で全部調べて理解して解決できるから、年に数回定期的に来てもらうほどのアドバイスは必要ない。どうしても分からないところだけ、必要なときにだけ、アドバイスを受けられればいいという企業の方もいらっしゃいます。この場合には、スポットで相談業務を提供します(口頭による相談あるいは書面による相談)。

ここで、当事務所が、相談に応じるコトをまとめました。

  1. 記帳内容が会計基準や税法に従っているかのチェック
  2. 税務調査の準備
  3. 試算表や決算書の見方
  4. 月次決算の方法
  5. 自計化の方法
  6. 経営計画
  7. 事業承継計画
  8. 資金繰り計画
  9. 会計ソフトの使い方
  10. ネットバンクやクレジットカードのネット明細の同期方法(クラウド会計ソフトには必要)
  11. 税務申告書の書き方
  12. 税制、税制改正の解説
  13. 納める税金の試算
  14. 消費税の納税を原則課税にするか、簡易課税にするかなど、消費税の有利選択のための試算
  15. 法人成りの場合の税金試算
  16. 経理業務の生産性向上、効率化
  17. 会計記録の信頼性を確保するための、組織や管理体制の構築や改善

おおまかに

1~5は、帳簿に記載(会計ソフトに登録)した内容の確認や、作成された帳簿データの利用法

6~8は、企業の経営の将来に関すること

9と10は、会計ソフトの使い方など、そもそもの記帳のしかた

11~15は、税金の計算やシミュレーションに関すること

16と17は、経理業務そのもののスタイルについて

よく言われることとして、顧問契約を締結したほうが良いと思われる企業は

①課税売上高1,000万円超の企業

②納める税金の合計が100万円以上の企業、

と、ある程度企業規模の大きい企業が顧問契約を締結したほうが良いとされます。

このくらい規模が大きくなると、税務調査を受ける可能性も高まり、決算、節税、資金繰り対策として検討するべき事項も多くなります。スポットで相談業務を依頼したとしても「年に何回もスポット相談」ということになりそうであり、顧問契約を締結した方がベターとなる傾向があるように思います。

特に、税務調査の対応は、企業のことを十分に理解していないと、十分な対応ができないと考えます。税務調査の可能性のある企業は、顧問契約を締結して普段から税理士と意見交換できるようにした方が良いと考えます。

一方、スポットで相談業務を依頼する場合でも、上記の1~17までのどれを相談するか、十分に検討してから、具体的に相談内容を考えて相談したほうが良いと思います。相談をする企業側にも、相談の回答を十分に理解して企業のノウハウとして残していくため、まずは相談したい内容そのものを十分検討する必要があります。

顧問契約のメリットは、1~17までのことを、顧問料の範囲で可能な人的資源や時間資源において、対応し得ることです。一定の時期に税理士が訪問して意見交換できるので、スポット相談業務よりも企業の理解が深まり、その深まった理解に基づいて、先を見据えた提案がしやすくなるといえます。企業規模の拡大を意識するなら、現状の売上高や納税額が小さくとも先行投資として顧問契約を締結するのも打ち手です。

スポット契約は文字どおり、論点を絞って個別に、あるいは相談時間を絞って相談時間内で解決できる範囲で、対応することとなります。だからこそ、スポット相談業務では相談内容が明確になっている必要があるわけです。1~17までのどのカテゴリーの、具体的に何を相談したいのか、明確にする必要があるということです。自力で解決可能なカテゴリーであれば、相談しなくてもいいので、何が自力で解決かのうかも明確にする必要があります。

企業にも成長のステージがあって

創業 → 成長 → 成熟 → 事業承継 or 上場 or 事業再生 or 廃業

と、様々なステージをたどることになります。

創業の段階から、たどるステージを意識して、どの時点からスポット契約が生じそうなのか、どの時点から顧問契約にするのかあるいは最初から顧問契約にするのか、

税理士や会計士といった有資格者プロフェッショナルを活用するためにも、自己の事業(自社)のたどるステージをイメージすることが必要になってきます。

(本投稿の執筆時間 60分)

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