複式簿記はトクかどうかの検討に役立つ~auのアップグレードプログラムEXを例に

iPhone Xへの機種変更を考えているところですが、大手携帯電話各社(大手キャリア)のスマホの料金体系は、けっして分かりやすいとはいえず、何にいくら支払っているか、見ずらいと感じてしまいます。

大手キャリアのホームページの料金についての文章や、料金シミュレーションを読むときも、項目が多岐にわたっていることもあり、どのような点に着目していいか見失ってしまいかねないと思います。

ついつい合計金額だけを見てしまいがちですが、なぜその合計金額になるのか、何に対する対価なのか、内訳を注意深く見るようにしています。

特に
①端末(スマフォ本体)の代金
②音声通話料金
③データ通信料金
④オプション料金

を区別しながら、注意深く見るようにしています。

携帯電話やスマフォが登場する前(もう四半世紀くらいまえでしょうか)は、当然のことながらこれらの支出が生活にあたえる影響はなかったと思いますが(固定電話回線はありましたが、スマホほど高くはなかったと思われます)、これらスマホの代金は生活費に占めるウエイトが高くなってきたので、慎重に検討したいところです(格安スマホにすることも視野にいれつつ)。

いつの間にかお金が漏れている!といった事態を避けるためにも、何にいくら支払っているのか、明確に理解しながら注意深く見たいところです。

さて、今私はauを使っていますが、auで機種変更をするにあたって、アップグレードプログラムEXという「買い替えプラン」が気になっています。

このプログラムに加入してプログラム料を毎月390円を24回支払い、25か月目以降にauで買い替えれば、25か月目以降のスマホ端末の分割代金を支払わなくてすむ(免除される)というものです。

これも、auで買い替える必要があるという点で、いわゆる2年縛りに象徴される大手キャリアの「顧客の囲い込み」策ですが、本当にこれがトクなのか、どのくらいトクなのか、どのような仕組みで分割代金が免除になるのかとか、気になります。

会計を業としている私は、ついついこれを、複式簿記的に考えてしまいます。

スマフォを購入したときは、複式簿記的には、上の図解1のように、

(借方)スマフォ端末 103,200  (貸方)未払割賦代金 103,200

となります。これを48カ月間の割賦で購入し(毎月の支払額2,150円)、24カ月支払うと、上の図解2のように、未払割賦代金(残金)は51,600円になります。なお、スマフォ端末の価値は、時間の経過と使用により減っていくので、毎月均等額が減っていくと仮定し、残存価値51,600円としています。

25カ月めでスマフォを下取りすると

(借方)未収入金(下取り) 51,600  (貸方)スマフォ端末 51,600

と仕訳できます。実際には入金しないので、借方は現金ではなく未収入金としています。スマフォ端末はauが下取りによって買い取った=回収したこととなります。

この結果、未収入金(下取り)と未払割賦代金が同額になるので、相殺でき、結果として未払になっている割賦代金を支払わなくて良いこととなります。

このように、複式簿記で考えると、このアップグレードプログラムEXというのは、毎月390円×24か月=9,360円のプログラム料を支払うことによって、確実に25か月目の未払割賦代金(上記の例では51,600円)で下取りしてもらえるということです。プログラム料は一種のオプション料といえます。下取り代金51,600-プログラム料9,360円=「純」下取り代金42,240円になるといえます。

実際に、2年経過後のスマフォの下取り代金が、いくらになるかは分かりませんが、あらかじめ2年経過後の下取り代金を決定できるという点では、下取り価格の変動リスクをヘッジしているといえます。

繰り返しになりますが、auで買い替えなければならないという点で「顧客囲い込み」策ではあります。

ライバルたる格安スマホ各社の通信品質や通信料金体系が、2年後にどうなるか分かりません。現状よりもかなり良くなる可能性もあります。また、auで扱わない画期的な端末が他社で取り扱われる可能性もあると思います。下取り価格の変動リスクをとって、このプログラムに参加せず、下取りを依頼する会社を自由に選択する余地もあります。

一方、2年後のスマホ市場の動向によっては、下取り価格がかなり下がることもあれば、それほど下がらないことも考えられますし、端末に使われるテクノロジーは1年でかなりアップグレードする現状を踏まえると、このプログラムはなかなか考えられたリスクヘッジ策とも思われます。

さておき、複式簿記で考えることによって、アップグレードプログラムがどのようなものか、理解を深められたと思います。もうしばらく、iPhone Xをどのように購入するか、じっくり検討しようと思います。

(本投稿の執筆時間 75分)

 

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