二つの側面から見るという、複式簿記(記帳)の本質
人工知能が社会のすみずみにまで浸透していくこれからのIT社会で、
必要なスキル ~読み・書き・ソロバン~ として、
自然言語(母国語及び外国語)、人工言語(プログラミング)、数学が
あるといわれます。
外国語(英語)に加え、プログラミングも小学校で勉強できるよう、
2020年からの次期学習指導要領が検討されています。
数学については、ロジカルシンキングや、資産運用における投資とリターンを
考える基礎となるスキルですが、簿記(記帳)と決算書にも通じるスキルです。
(もっとも、小学校の算数に苦手意識が無ければ、簿記(記帳)と決算書の
基本は大丈夫です)
ビジネスを理解、推進するための「ソロバンスキル」として簿記も習得しましょう。
さて、今回は、前回の続編で、複式簿記において「二つの側面から見る」ことの
意味について詳しく書いていきます。
お花屋さんをイメージしましょう。
お客様に、花束を一束、5,000円で販売し、代金は花束と引き換えに現金で受け取りました。
これを、複式簿記で表現すると、次のようになります。
現金を受け取っているので、「入金は左」、現金が左になります。
現金 5,000円 / 売上 5,000円
商品(ここでは花束)を販売するという取引は、二つの側面にわけて捉えられます。
図にすると、次のようになります。
先に「②花屋さんに代金5千円を支払う」(花屋さんが代金5千円を受け取る)に
ついて、お金の受け渡しです。花屋さんにとっては入金になるので、複式簿記では
左に「現金 5,000円」と書きます。
次に「①お客様に花束をお渡し(販売)する」について、
この例の花束のような、商品を販売することは、「売上」と表現します。
左側はすでに埋まっている(「現金 5,000円」と書いている)ので、
右側に書くことになります。
金額はというと、複式簿記では、左側と右側の金額は必ず同じになります。
このため、左側と同じ5,000円となり、右側は「売上 5,000円」となります。
花束を5,000円で販売しているので当然といえば、当然なのですが、
”花束=5,000円”、ということです。
図の番号と対応させて整理すると
②:現金 5,000円 / ①:売上 5,000円
モノやサービスを売る、電話代や家賃、広告代などを支払うといった、
取引はすべて、二つの側面にわけて見ることができます。
一つのものごとは一つの側面ではなく、少なくとも二つの側面から見ることができる、
複式簿記は物事を多面的に観察できるということを教えてくれます。
なお、「現金 5,000円 / 売上 5,000円」というこのスタイルの記録を
「仕訳(しわけ)」と言います。
また、「現金」「売上」という言葉(ラベルにも似ている感覚ですが)は、
「勘定科目(かんじょうかもく)」と言います。
(本日の執筆時間 94分)
後記 30分以内に書くことを心掛けると、先日書いたばかりですが、
制限時間についてはあるていど柔軟に構えることにします。