働くヒトのボルテージ(本気度・やる気・熱量)を可視化して、企業の評価尺度にできると面白い。

これからの企業評価は、金額で表現される業績指標だけではすまない

企業の業績は損益やキャッシュ・フローで評価され、企業の状態は貸借バランスで評価されます。

損益とキャッシュ・フローは、一事業年度という、現在(決算日)までの一定期間の「成績」で、貸借は現在(決算日)における「現状の姿」を示し、その中でも「利益剰余金」は過去からの蓄積(経歴、歴史)を示すものです。

なるほど、現在までの成果と現在の状態やこれまでの歴史を示すものではありますが、今後はどのようになっていくのか、これら決算書だけでは、なかなかイメージできないのではないでしょうか。

将来の企業の姿をイメージできるものとして、その企業の経営者の業績予想、発表される(中期)経営計画、企業を取り巻く社会経済情勢があります。

一方で、業績さえ上げれば(何をやっても良い)という時代では無くなっています。業績を上げるのは当たり前ですが(業績が上がらないと、企業の経営が危うくなりますので)、それだけではなく、世の中にどのような「良い影響」を「与えたい」からその事業をやっているのかが、重要になっています。

とりわけ最近は、フリーランスや個人事業主として、会社に雇用されることなく、自分の力で、自分の名前とキャラクターで、世の中に良い影響を与えていきたいという人が増えています(起業マインドが、かつてないほどに増しています)。ブログやSNSで発信する人も増え、新聞・テレビ・ラジオなどの大型メディアに登場せずとも、ネット上だけで有名人になれるチャンスも増えています。

そうなると、金額で表現される損益やキャッシュ・フローや貸借の数字だけでは、企業を評価しきれなくなります。数字の背景に、数字の立役者にヒトがいる、ヒトのキャラクターや、ボルテージがあるということが、決算書の数字だけではなかなか理解できないからです。

業績の指標として決算書が重要であることは変わらないとしても、それだけでは、ヒトの個性とボルテージ(本気度、やる気、熱量といったもの)が一層重要視されるようになった現代においては、十分な企業評価ができるとは言えないのではないでしょうか。

ヒトのボルテージを可視化するのは簡単ではないかもしれません。しかしながら、昔からよく言われているように「企業は人なり」企業は人でできているという、言われなくても分かっていることですが、企業を構成しているひとりひとりのヒトがクローズアップされるような、新たな可視化された業績指標があったほうが面白いのではないかと考えます。

従業員は経営者と権限や役割は異なるが、企業を成り立たせているという点では対等なはず。だから、

経営者は、従業員よりも強力な権限を持っています。そもそも従業員として人材を採用する権限、従業員の給与を決める権限や配属を決める権限、設備投資の決定権限など、企業の基盤を決める力を持っています。

しかし、一人で仕事を完結させるような企業の場合を除いて、従業員がいなければ企業の仕事が回らないのが通常とも言えます。企業を成り立たせるという点においては、経営者と従業員は対等です。

経営者というトップの掲げる理念やビジョン、熱量が重要なことは言うまでもないことですが、従業員がその企業の仕事にどの程度のボルテージを持って取り組んでいるのか、従業員のボルテージの総和がどの程度か、わかりやすく示すものがあったほうが良いように思います。

例えば、従業員であってもブログをやって、対外的に自分がやっていること、感じていること、事業を通して達成したいことや達成したこと、取り組んでいることを発信するという手段があります。

企業の守秘義務に抵触するようなことは書かないなど、留意すべき点は確かにありますが、会社の影に隠れてしまうことなく、会社という器を通してどのくらいのボルテージを持って仕事に取り組んでいるのかや、加えて、人となりも表現できるように適度にプライベートのことも発信するなどしていって、企業の人材の力、ヒトのボルテージがどの程度あるのか、対外的にどんどん示していったほうが良いように思います。

経営者としても、従業員の自主的な情報の発信には寛容であるべきです。指揮命令系統があるにしても、従業員は経営者の奴隷でもなければ、社畜でもないはずです。

むしろ、従業員が自由に、守秘義務に抵触しないような一定水準をもって、自社のことを表現することで、社会に対する企業の広報力も増すと思われます。

もしかすると、いやもうすでに到来している現実なのでしょうが、企業というのは、法形式上は「雇用契約」で繋がっているのでしょうが、実態は「個人事業主の集まり」になっています。個人事業主の集まりならなおさら、従業員=個人事業主自らの発信を盛んにやっていったほうが、その企業のことがよく理解できると考えます。

(本投稿の執筆時間 70分)

追記 写真(アイキャッチ画像)は、西表島のクーラの滝で、滝に打たれたところです。

 

Follow me!