複業で民泊をはじめた。消費税はかかる?~消費税における「事業」の定義

今朝の日本経済新聞5面「アナログ税制(上) スマホ副業の盲点 民泊・フリマ どう課税」を読みました。

複業(パラレルキャリア)として民泊を始めた場合に、お客様に消費税を請求することになるのですが、なぜ消費税を請求できるのか、そのロジックを整理したいと思い、今日の投稿テーマとしました。

※なお、基準期間(個人事業主の2年前、法人の2事業年度前)における課税売上高が1,000万円以下の場合には、原則として、当年における消費税の申告及び納付は免税となります(小規模事業者の事務負担に配慮、更なる詳細規定の説明は本投稿では省略)。

消費税は、
①国内取引であって
②事業者が
③事業として
④対価を得て行う
⑤資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供であること
この5つの要件を充たすことによって、課税されます。

日本に在住する人が日本で民泊を営むことを前提とすれば、①④⑤の要件は問題なく充たせると判断できます。

それでは、②③は充たすのでしょうか?この、複業による民泊が、消費税法にいう「事業」に該当するかどうかにかかっていますが、消費税法における「事業」の意義がどのようであるかによります。

そこで消費税法の「事業」の意義は、消費税法の条文上は明らかにされていませんが、消費税法の解釈指針として公開されている消費税法基本通達5-1-1によれば「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われること」を意味します(独立とは、他人の計算や指図によらず、自らの計算や判断ですること)。

消費税の計算構造は「預かった消費税-支払った(預けた)消費税=納める消費税」であり、そこに利益という概念はありません。このため、消費税法における「事業」の意義には「営利を目的」という言葉が入っていないものと思われます。

従って、複業ではあっても民泊を反復、継続、独立して行うのであれば、消費税法にいう「事業」に該当し、お客様に消費税を請求することとなります。

なお、民泊から得た利益(所得、すなわち民泊の売上高-民泊の必要経費)には所得税がかかりますが、これについては明日アップします。

※本投稿における意見にわたる部分は、当事務所の見解であり、すべての事実関係に一律に適用できることを保証するものではありません。個別の事例における判断は、税理士、弁護士等の専門家に、各別にご相談の上、対処頂けますようお願い申し上げます。

(本投稿の執筆時間 80分)

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