お客様の帳簿(会計ソフト)をチェックする際に、気をつけていること
目次
利益(所得)が適正に算出されているか、納得するために
顧問業務において毎月帳簿(=会計ソフト。以下同様)をチェックする際にも、税務書類の作成業務において帳簿をチェックする際にも、月次推移や試算表を表示させて、数字の動き(月次推移なら毎月の増減、試算表なら期首から期末の増減)を観察し、イレギュラー、すなわち通常とは異なる動きがないか把握します。
イレギュラーがあれば、そのイレギュラーとなっている取引や、イレギュラーとなる「取引の無いこと」について、お客様に理由を確認していただきます(自己点検のお願い、とでもいいましょうか。理由の説明をお願いし、必要な場合、さらに契約書や請求書などの取引書類のご用意も依頼します)。
理由の説明が合理的であり、理由を裏付ける取引書類が真正なものであれば、イレギュラーについて(誤りではない、とか、合理的である、と)納得でき、適正な利益(所得)に基づく決算書や税務申告書の作成につながっていくわけです。
当事務所は、税理士法33条の2に規定する添付書面を作成し、税務申告書に添付するため、イレギュラーの把握を重視しています。
以下では、イレギュラーを把握するために、常日頃気をつけていることを列挙します。
気をつけていること
通常は発生しない取引が、記録されている
例えば、毎月100の売上となるのが通常であるところ、5月に売上が500となるのは(イメージは下のグラフ)通常とは異なるため、その理由を確認します(お客様に質問したり、理由を裏付ける資料のご提供を依頼する。以下同様)。
通常発生すると想定される取引が、記録されていない
例えば、毎月300の売上となるのが通常であるところ、7月の売上がゼロであるのは通常とは異なるため、なぜそうなったのか理由を確認します。
通常発生する取引が記録されているが、増減がかなり大きい
売上高(収益)、経費(費用)、資産、負債、純資産の各勘定科目ごとに、前年同月比(月単位の比較)、前期比(年度単位の比較)、予算比を把握します(差額金額ベースと比率ベースの両方)。
増減がかなり大きい(企業の規模や、勘定科目の残高ごとに個別に「かなり大きい」かどうかを判断する)場合には、その理由を確認します。
事前に得た情報や過去の経験・知識の蓄積からイメージする動きと、違っている
事前情報、経験及び知識の蓄積により、お客様の売上高を下の画像の青線のようにイメージしているところ(夏場にかけて売上高が増え、冬場に減少する)、実際には緑色の線のようになった場合(冬場に売上高が増え、夏場に落ち込んだ)、その理由を確認します。