「初回相談無料」を止めます

他の事務所が実施しているように、当事務所でも開設以来しばらく行ってきたところでしたが、

「初回相談無料」を止めさせていただきます。初回であっても、個別具体的な回答(ソリューションとなる回答)は有料にします、という意味です。

税理士の相談サービスは専門サービスであり、そもそも無料ではありません。

税理士が相談サービスを無料で実施するということは、医師が診察を無料でやるのと同じようなものです。

無料で診察をする医師というのは、聞いたことがありません。

また、「初回診察無料」という医師も聞いたことがありません。それどころか、初診料として、診療報酬が加算されます。カルテなどの情報を整えるためのコストが余分に発生するからでしょう。

(子どもの医療費が無料の自治体がありますが、その医療費は、税金と社会保険料で賄われており、患者(の親御さん)が負担する額はありませんが、医師にはしっかりと、税金と社会保険料を原資とした対価が支払われるはずです)

税理士が相談サービスを手掛けるためには、コストがかかります。そのコストは、売上代金で回収しなければなりません。たとえば、酒屋さんにとって、ワインの仕入れ代金はコストであり、そのワインの売上代金で仕入代金を回収しますよね。それと同じです。

税理士が相談サービスを手掛けるためのコストとは、研修費、会計や税務の専門図書費(相談に回答するためには勉強が必要ですので、そのコストです。医師が研修を受けたり専門書を読んだうえで、患者を診察するのと同じです。勉強しなければ診察はできないはずです。)、税理士会の会費(税理士会会員向けの研修もある上、税理士会に入会して会費を払うのは義務になっています)、インターネット関連費用(パソコン代や通信費)、事務所の家賃などです。

相談サービスの原価というのは歴然として存在します。原価を売上代金で回収するのは、いかなる商売にとっても常識です。

思うに、多くの税理士が、相談サービスを初回無料としているのは「試用」と「比較」の意味あいがあるからです。

「試用」とは「試しに税理士に相談してみる」ということで、気に入ればその税理士と継続的に取引をするという流れとなるよう、最初の入り口の敷居を下げるものです。

この「試用」とは、お客様(クライアント)側だけではなく、税理士の側にとっても、クライアントに関する予備知識ゼロの状態から、予備知識を得て、クライアントのビジネスやクライアントとの相性の点から、継続的に取引可能かどうかを検討するという意味合いがあります。

「比較」とは、他の税理士と比較をしてみて、気に入ったほうの税理士と継続的に取引をするという流れとなるよう、最初の入り口の敷居を下げるものです。

(医師の世界には「試用」という考え方が薄いのか、初回診察無料というのが無いですね。様々な医師を比較してかかりつけ医を決めたいので、医師にも「試用」という考えが必要な気がしますが、医師の診察コストは高いと思われるので、無料で診察をしたくはないのでしょう)

(ワインにも「試飲」がありますが、販売促進費として必要な経費としてとらえられます。)

さて、「初回相談無料」をやめるのですが、具体的には、

相談者にとって個別具体的な回答(すなわちソリューションとなる回答)を、無料でするのを止める

こととなります。

調査に時間を要しない一般的な(必ずしも個別の相談者にあてはまらない、個別のソリューションに結びつかない)回答は無料です。これは具体的なソリューションではないので、無料にせざるを得ないのですが。いざとなれば素人でも自分で調べられますし。

面談中であっても、営業としての面談(事務所の紹介や雑談など)は、やはり無料とせざるを得ません。証券会社の人が、金融商品を販売するためにいくら営業トークをしても、その営業トーク自体に代金が発生しないのと同じです。

初回の相談は、営業としての面談を兼ねることになるので、営業としての面談時間には課金しないようにします。

個別具体的な回答(ソリューションとなる回答)は、初回であっても有料とする、ということです。

(本投稿の執筆時間 43分)

 

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