青色申告にしない手はない~損失を翌年以降3年間繰り越して所得と相殺できる
個人事業主やフリーランスにとって、青色申告にしない手はないといえる、青色申告のメリットとして、純損失の繰越控除(所得税法70条)というのもあります。
これは、損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、各年の所得と相殺できる(相殺後の所得に課税される)というものです。白色申告では、損失のうち一部の額(変動所得の計算で生じた損失及び被災事業用資産の損失のみ)しか認められません。
イメージを描くと次の図のようになります。
この、純損失の繰越控除をするための要件は、損失の生じた年に確定申告書を提出し、その後において連続して確定申告書を提出することです。連続して確定申告書を提出することにより純損失を繰り越していくということです。さらに、通常の確定申告書Bに加え、第四表を作成することになります。
継続して事業を営んでいくことを前提とすれば、「理論的には」事業の全継続期間を―赤字の年も黒字の年もー通算して事業の果実である通算利益(所得)に課税すべきといえるところ、実務としては、課税の安定をはかるため、事業年度(個人の場合暦年)に区切って期間計算によって期間利益(所得)を求めて課税せざるを得ないといえます。純損失の繰越控除とは、理論的に考えられる通算利益を考慮した、実務上の取り扱いとして認めているものといえます。
一時的な事業の損失は、将来獲得する利益のための「投資」と捉えることも可能であり、将来の利益でその損失を回収する、というふうにもいえます。
なお、法人の場合は、この繰越控除(法人では青色欠損金の繰越控除といいます)が翌年以降9年間認められています。個人と法人を比較した場合の法人のメリットです。
(本投稿の執筆時間 54分)