CFP資格審査試験 2020年度第2回 リスクと保険 レビュー(受験体験記)
はじめに〜自己採点の結果
11月15日(日)に開催されたCFP資格審査試験「リスクと保険」を受験しました。
前提として
- AFPを持っている(AFPレベルの知識は有している。日本FP協会の会員)
- 所得と税額の計算は慣れている(税理士業務を通して)
- 仕訳できる(公認会計士試験時代からずっとやってきている)
と、CFP試験の勉強がやりやすくなるスキルはあり、事前に勉強し過去問を繰り返し解くなど準備をしていても、本試験で緊張しながらボリュームのある50問を120分で解答するのは、楽ではありませんでした。終わってみれば時間切れで解けなかった問題が8問も。
それでも、翌日に公表された模範解答を見ながら自己採点した結果は、50問中37問正解。
過去3年の合格ラインは6割程度(31問程度)なので、今回もそうだとすると合格できるかなと思いホッとしています(結果通知は12月16日(水)に発送されるとのことですが不合格だったらかなりショックです)。
以下、今回の本試験をレビューしていきます。日本FP協会が公表している試験問題はこちら(2020年度第2回の「リスク」参照)。
本試験の問題の解き方をレビュー
第1問から順番に解いて行きましたが、問題文をひと目見て、
- 問題文(問題文の本文と資料)が長いと感じたもの(おおむね見開き1ページに問題文と解答選択肢が収まらないもの)
- 計算の手順が多いと感じたもの(計算式が問題文に与えられているが、式の解読に時間がかかりそうなもの)
は飛ばして、どんどん次の問題に進むようにしました。飛ばした問題は問題番号を丸で囲みます。
過去問の通し練習(過去問50問を120分で解く練習)では、上記1や2のような飛ばすべき問題は残り時間(30分以上確保できるようにする)でやるようにしたので、今回の本試験でもそうしたかったところですが、
- 本試験ならではの緊張
- マークシートの塗りつぶしによる時間ロス
(過去問の練習ではiPadのメモアプリにApple Pencilで計算式や答えを書き込むのでマークシートに塗るより速い) - 「あれっ?ちゃんと計算したつもりなのに正解の選択肢が無い!?」というパニックに囚われてしまい
残り時間は20分しか確保できませんでした。
今回飛ばした問題は
- 問題5:収入保障年金と個人年金の所得税の雑所得金額の計算(計算手順が多いと感じ後回し)
- 問題8〜問題10:生命保険約款の読み取り問題(分量が多いと感じ後回し)
- 問題20〜問題23:生命保険証券と生命保険提案書の読み取り問題(分量が多いと感じ後回し)
- 問題34:火災保険約款と地震保険約款の読み取りと保険金の計算問題(分量が多いと感じ後回し)
- 問題35:自動車保険約款の読み取りと保険金の計算問題(分量が多いと感じ後回し)
- 問題36:海外旅行保険約款の読み取りと保険金の計算問題(分量が多いと感じ後回し)
- 問題42:企業費用・利益総合保険の約款の読み取りと保険金の計算問題(分量が多いと感じ後回し)
残り時間20分で、問題5、問題8〜10を解答して正解しました。しかしそれ以外の飛ばした問題は結局時間切れで解くことができませんでした(問題20を解いている途中で試験終了)。残り時間をあと10分余分に確保できていれば、問題20〜23を解答できた気がします。
間違えた問題のレビュー
解答はしたものの、間違えた問題は以下の通りでした。
- 問題13:外貨建終身保険(変額終身保険特約付き)の商品パンフレットの読み取り問題
→パッと見で見開きに収まっていて読み取りに時間がかからないだろうと思い、解き始めたが、思ったよりも読み取りに苦戦してしまい時間を取られてしまった挙句、読み落としがあったため間違えてしまった。後回しにすべき問題であった。 - 問題40:マンション区分所有者および管理組合が契約する地震保険について
→インプット不足。選択肢1と2で迷ってしまい、結局1にマークを塗ったが間違えた。地震保険の保険金は「主要構造部に該当しない部分のみの損害」については支払われないことを十分にインプット出来ていれば間違えることは無かった。 - 問題44:各種の法人向け損害保険について
→機械保険も有価証券・貨紙幣類運送保険も、よく出る重要論点ではないと判断していたためインプットは不足していた。運送保険なのに保管中の損害も補償されるのか?(されないだろう)と思ってしまい、間違えてしまった。火災により損害を被った場合には火災保険でカバーされるはずだからわざわざ機械保険という別の保険商品を設けるのは何故だろう?という応用的な疑問が湧かなかった。 - 問題45:労働災害総合保険、普通傷害保険、政府労災保険の関連性や異同について
→インプット不足。労働災害総合保険(法定外補償条項)は政府労災が支給されない場合には保険金の支払対象にならない。政府労災は休業開始の最初の3日は支給されないから、労働災害補償保険(法定外補償条項)は休業した初日から保険金の支払い対象とならないことになる。この理解が不十分で、適切としてしまった。 - 問題46:法人が契約する積立普通傷害保険の保険料支払いに係る税務仕訳
→痛恨のケアレスミスであった。保険期間が5年間(=60か月)の一時払い保険料なのに、1年分(=12か月)と勘違いしっぱなしで、掛け捨て部分の保険料を60か月で割るべきところを12か月で割ってしまい「あれ?福利厚生費は選択肢にあるけれど金額がどうしても合わない(なぜ60,000円なんだ)!?」とパニックに陥ってしまい、時間を取られ、残り時間が気になり後回し!と解答をせず次に進んでしまった。ここで、積立保険料の額は確信を持っていたのだから、福利厚生費の金額が合わなくとも福利厚生費のある選択肢にマークしていれば正答だったのに・・・択一式ならではの機転が効かなかった。
勉強方法のレビュー
- 試験の約3か月前から勉強開始
8月下旬から勉強を開始した。 - テキストの通読と問題練習
日本FP協会が発行している「CFP資格標準テキスト」の最新版(2020ー2021年版)を、テキスト内の問題を解きながら1回通読(通読はすきま時間にするようにし、回数は1回のみ) - 間違えた論点についてテキストにマーカーを引く
通読の際はラインマーカーを引かず、テキスト内の問題を間違えた場合に、間違えた論点が書いてあるテキストの本文にマーカーを引いた - 過去問練習の1周目
10月5日から、日本FP協会が発行している過去問題集(CFP資格審査試験問題集)を、過去3回分(2018年度第2回、2019年度第1回、2019年度第2回)解き始める。
1周目は1回当たり15分の場合は5問程度、30分の場合は10問程度を解いた。過去3回分の1周目を終了するのに1か月(11月7日まで)かかる。
間違えた問題については、間違えた問題についての論点が書いてあるCFP資格標準テキストの本文にマーカーを引いた。
CFPの勉強は過去問を解きまくることが最も有効な勉強法といわれるが、まさに過去問練習によって、出題パターンや出題される問題の傾向を身体で覚えることができた。 - 過去問練習の2周目:本試験と同様に120分で過去問1回50問分を、通し練習
11月11日と13日に(だいぶ直前になってしまったが)、2周目として、本試験を意識し120分で過去問1回分50問を通しで解いた。最初から解き始めて、分量が多かったり複雑そうな問題を見極めて飛ばして後回しにする訓練や、出題頻度の高い出題パターンの問題や、文章の短い問題はスピードをつける訓練とした。 - 間違えた過去問を再度解く
本試験の前日14日には、連続して間違えた過去問を再度解いて論点を覚えることに努めた。 - 試験直前の最終見直し
本試験当日の朝、試験会場に向かう電車の中ではCFP資格標準テキストのマーカーを引いた部分のみ目を通した。
終わりに
受験のきっかけ
受験のきっかけは、あるお客様からスポットのご相談で
「退職金の受け取り方は、一時金と年金のどちらが税金面で有利か?」
について相談を受け、ファイナンシャル・プランナー(FP)が作成した「退職後のライフプラン表」を見せて頂きながら相談に応じたことでした(そのFPが税理士資格を持っていなかったから当職に相談したようである)。
AFP資格は持っており、CFP資格を有していなくとも特に問題なく公認会計士や税理士としての業務(会計及び税務業務や、コンサルティング業務)はできるので、CFP資格を取ろうという動機が長いこと生まれませんでした。
しかし、相談のなかでライフプラン表を見ながら、ライフプランの終点は(税理士業務の範疇の)相続だけれども、相続に至るまでには家(不動産)の修繕や、(引越しや高齢者施設に入居することによる)賃貸や売却、相続対策としての生命保険の見直しもあることに思い至り、
(会計や税務とは切っても切れない)お金についての知識を補強し、お客様へのアドバイス内容をより豊かなものにできたら面白いと感じ、CFPの残りの科目も受けて、勉強をとおして保険や不動産や金融商品の知識を補強したいと思うようになりました(相続・事業承継設計、タックスプランニング、ライフプランニング・リタイアメントプランニングは過去に合格済み)。
実際に今回「リスクと保険」の勉強をしてみて、FP業務の想定クライアントは「消費者である個人」がメインであるとの認識を持ってしまっていたのですが、それには限定されず「中小・中堅企業(個人事業主、株式会社などの法人)」も想定クライアントである認識を持てました。
企業の財務に関するコンサルティングにFPの資格と知識をフル活用できると、より充実したコンサルティングサービスを実現できると考えています。
まとめ
CFP資格審査試験の受験資格として「日本FP協会が認定するAFP認定者である」ことが求められていますが、AFPの知識を有していることは間違いなく前提です。
また、計算問題を得意にすることと、複式簿記の仕訳を理解していることは、受験を圧倒的に有利にします。
そしてやはり過去問を解きまくって、出題傾向と問題のパターンを身体で覚えることがとても重要。
最後にもう一つ、とても重要なことは「みんなができる問題は絶対に落とさない」ことです。
本投稿で触れた「飛ばした問題で、時間切れでできなかったような『問題文の解読』がとても大変な問題」は、できなかった人もある程度いると考えられます。こういう問題は、みんなができる問題を確実に正答した上で、正答できれば大きなアドバンテージになります。
しかし、本投稿で触れなかった問題と、「間違えた問題のレビュー」で触れた問題は、実は「みんなができる問題」に分類されうる問題ではないかと思います(それだけに問題40のような基本的なインプット不足や問題46のようなケアレスミスは悔やまれる)。
「みんなができる問題は絶対に落とさない」ことは、21年前に受けた公認会計士2次試験の際にも専門学校でよく言われていましたが、CFP資格審査試験においても、当てはまると確信しています。
12月16日に発送される結果通知を見て、合格していれば、次は「不動産運用設計」に挑戦したいと思っています。
備考:CFPは登録商標であり、正式には”CFP®︎”と表記されますが、本投稿では登録商標を示す”®︎”を、執筆と編集を簡便にするため省略させて頂きました。ご了承をお願い申し上げます。