売上げたといえる時期は、いつか?
売上代金を受け取ったときではない
会社勤めを辞めて(個人事業や会社設立で)起業して、はじめて自ら売上を獲得する場合には、もしかすると、日常の買い物になぞらえて「売上」をとらえて、「売上の時期=代金を頂いたとき」とする向きもあるかも知れません。
しかし、企業会計・税務においては「売上の時期=代金を頂いたとき」ではありません。売上の時期は原則としては
- 販売するものがモノの場合→買主に引渡したとき
- 販売するものがサービスの場合→サービスの提供を完了したとき
になり、代金を頂いたときではありません。
街なかの多くの小売店、飲食店、美容院やマッサージなどのサービス業では、
- 販売するモノの引渡しと代金の受け取りが同時
- 販売するサービスの提供完了と代金の受け取りが同時
で、売上の時期と代金の受け取りの時期が同時なので、売上げた時期を簡単かつ感覚的に理解しやすいかも知れませんが、正式には、
- 売上げた時期=モノの引渡し時期、又はサービスの提供完了時期
- 代金の受領時期
を分けてとらえます。
代金の受け取りが、販売するモノの引渡しやサービスの提供完了の後日となっても、引渡しやサービスの提供完了のときが「売上げたとき」となります。
企業会計・税務においては、モノの引渡しやサービスの提供が完了すれば、買主に代金を請求できる権利を得ることができると捉えます。
常識的に考えても、お客さんにモノを引き渡す、あるいはサービスを提供し終えれば、お客さんに代金を請求できる(=お客さんは代金を払う義務を持つ)のが一般的です。
この「代金請求権」は、会計上は売掛金や売上債権と呼ばれるものですが、これに財産価値を認めて、現金として代金を受け取っていなくても、売上とすることになります。
消費税も「売上げたとき」の税率で計算される
来週10月1日から、いよいよ消費税が10%に増税されます。新聞やテレビなどでも、消費税の増税がらみのニュースが盛んに報じられています。
さて、消費税も「売り上げたとき」の税率で計算されます。
注文したり予約したのが9月であっても、
- モノの引渡しが10月になれば、新税率10%で消費税が計算される(請求される)→「引渡し」とはどの時点かについてはさらに掘り下げられるものだが、ここでは「お客さんに手渡した日」又は「出荷した日(お客さんに発送するために運送会社に引渡した日)」ととらえる
- サービスの提供完了が10月になれば、新税率10%で消費税が計算される(請求される)
ことになります(他にも細かい例外的な取扱いはありますが、ここでは説明を省きます)。注文や予約が9月中であっても、到着が来月になる場合は、消費税率が10%として請求されるので注意が必要です。
(本投稿の執筆時間 55分)