書面添付×ひとり税理士。当事務所は書面添付を全クライアントに実施します。

本日(2019年9月19日)より

昨日、税理士会の研修を受講しました。

テーマは「書面添付の実践が事務所の評価を変える!~税務当局・金融機関・お客様の視点~」(アイキャッチ画像は研修のレジュメです)

添付書面は以前に1件、不動産の譲渡所得の確定申告書を作成する際に作成・税務署に提出した経験があります。

  • 他のクライアント、税目についてもやってみたいけれども、どのように書けばいいのか?
  • 本格的に業務として継続していくためにはどのような工夫が必要か?
  • 工数の増加はどの程度か?

など、書面添付の業務を今後展開するにあたり不明なことを知り、疑問点を解消したいと思ってこの研修に参加した次第です。

さらには、この研修を受けることで、書面添付を本格的にやろうという決意を固めたかったということもあります。昨年の8月にアップした「世の中に良い仕事を残したい!そのために考えること」のなかで、書面添付に積極的に取り組みたいと書いたこともあり、本格実施へと背中を押してくれるコトが必要だったと感じています。

そもそも申告書の「添付書面」とは

さて、添付書面とは、税務申告書と一緒に税務署に提出する書面で、確定申告書を作成(あるいは作成に関与)した税理士が作成するもののことをいい、以下のことを記載することになっています。

  1. 税理士自らが作成・記入した帳簿・書類の名称と、その基礎となった書類等の名称や概要
  2. クライアントから提示を受けた帳簿・書類の名称
  3. 税理士がクライアントの税務申告書を作成するにあたり、税理士が計算し、検討し、整理した事項。(以下は特に法人税や所得税の場合)損益計算書や貸借対照表の各項目を前期比較(分析)した結果、顕著な増減のある項目の増減金額、内容と理由。会計処理方法の変更があればその旨と理由
  4. 税理士がクライアントから相談を受けた事項とその要旨
  5. その他:総括(結論)、特記事項など

「添付書面」の様式は以下の写真のとおりです。

添付書面を申告書と一緒に税務署に提出すると、その添付書面に基づいて、税務調査の通知がなされるより前に、添付書面を作成した税理士に意見を述べる機会が与えられ、実際に税理士が意見を述べた結果、税務調査の省略か、時間短縮につながります。

工数に見合ったメリットと、監査業務の経験を活かすことと

さて、添付書面を作成するには、作成しない場合に比べて、時間と作業量を必要とします。

  • クライアントの決算書が経営の実態を適切に表現しているかを検討し
  • クライアントの税務処理について検討し、
  • 損益計算書や貸借対照表の項目の前期比較を行うため、

添付書面を作成しない場合に比べて、よりしっかりと、根拠となる資料の整備をクライアントの皆様にお願いし、より多めに、クライアントの皆様に質問させて頂くことになります。さらには、資料整備と質問へのご回答を的確に行いうるよう、自計化(クライアント自ら会計ソフトに登録(記帳)する)することが前提となります。

(もちろん、自計化に必要なこと、自計化のノウハウやより効率的な方法については、どんどんインストラクションいたします。)

資料とご回答に基づいて、添付書面の作成をすすめていきますが、添付書面の作成にあたっては、長い間従事してきた会計監査における、監査調書の記述ノウハウを活かせます。検討事項の記述、比較分析とその内容の記述については、慣れており、添付書面に応用できます。

そして、時間と作業量をとってでも、書面添付するメリットは大きいものと、当事務所としても判断しています。メリットとは

  1. 書面添付の結果、税務調査の省略か、時間短縮につながる→上述のとおり、税務調査の通知がなされるより前に、税務署から税理士に意見を述べる権利が与えられ、意見を述べて、それが税務署に検討されることにより、税務調査の省略につながるか、税務調査が行われたとしても調査時間の短縮につながる。
  2. 書面添付に向けて、必要にかられ、クライアントの経理業務の品質が向上し、損益計算書や貸借対照表の財務数値に強い経営を実現できる
  3. 経理業務の品質が向上する結果、作成される決算書と税務申告書の信頼性も強まり、書面添付をしない場合よりも銀行から融資を受けやすくなる

終わりに:決算と申告は、クライアントと会計事務所の共同プロジェクト

書面添付のメリットをもう一度まとめると、

  1. 税務調査の負担が軽くなる(税務調査の省略か時間短縮につながる)
  2. 経理業務の質が上がり、経営者が財務数値に強くなる
  3. 決算書と申告書の信頼性が増し、銀行から融資を受けやすくなる

当職は、日頃から、会計事務所が関与する決算・申告業務は「クライアントと会計事務所の共同プロジェクト」と捉えております。

添付書面は税理士が作成しますが、税理士ひとりだけでは完遂できません。クライアントの皆様ご自身で、自社の経理業務のブラッシュアップをお願い致します。もちろんそのためのアドバイスは惜しみません。

経理業務のブラッシュアップの結果は、経営の改善というかたちで返ってきます。

(本投稿の執筆時間 90分)

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