会計責任と監査責任 ~ 二重責任の原則 税理士にも応用

ブログのアップが、まる一週間空いてしまいました。体調を崩してしまい、ブログに体力と気力を割くことができないでいました。今日から再開、無理なくやりたいと思っています。

さて、一枚の決算書をめぐっては、二つの責任が存在します。会計責任と監査責任です。これを「二重責任の原則」といいます。

会計(経理)というのは、経営管理活動の一部であり(経営管理の略が「経理」とも言われますね)、会計が適正に実施されることの責任を経営者が負うのは、ごく当然です。

一方、会計(経理)業務の結果、決算書が完成しますが、その決算書を監査人が監査するにあたり、監査が適正に実施され、決算書に対する意見が適切に表明されることの責任は、当然、監査人が負います。

監査人は、監査報告書に代表される、報告書の様式により、監査意見を表明します。決算書が企業の財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況を適正に表示しているか否か、積極的に意見を表明します。

ところで、最近思うこととして、

税理士業務において税務書類を税理士が作成する場合、税務書類に税理士が署名押印する欄があります(電子申告の場合は、記名の上、電子署名を付します)。この、署名押印というのは、税務書類の作成にあたって税理士が関与したことの証拠となるものです。さらには、税理士が関与している以上、税務申告書を税法に準拠して適法に作成したという、税理士の責任の所在を表すものといえます。

監査と比較すると、税理士の署名押印があるというだけで、税務書類一式に対する信頼性を担保するものなのかは明示されていません。

監査報告書であれば「(決算書が、会計基準に準拠して)すべての重要な点において適正に表示しているものと認める」と明記されるところですが、

税務申告書に税理士は「(税務申告書が、税法に準拠して)すべての重要な点において適正に作成されたものと認める」と明記することはありません。

私見として思うに、税理士は顧客納税者に対する専門家責任として、税務申告書を税法に準拠して適法に作成しなければなりません。わざわざ明記せずとも、税務申告書に署名押印した以上、税務申告書全体として適法性が担保されていると解釈されるものと思われます。

一方で、顧客納税者の協力なくして、適法な税務申告書を作成するのは不可能と言えます。顧客納税者には、会計責任を負う者として、税理士のアドバイスに基づいて、適法な税務申告書の作成に協力する義務があると言えます。

このように、税理士と顧客納税者との関係でも、二重責任の原則が成立すると言えます。

税理士の適切なアドバイスに基づく協力を、顧客納税者がしなかったがために、税務申告書の適法性が妨げられたとしたら、その責任は顧客納税者が負うべきものと言えます。

(本投稿の執筆時間 40分)

 

 

 

 

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