経費として認められるためには?

学校ではなかなか「この買い物は経費にできるか?」ということを学ばないと思います。

就職して会社の業務を通じて学ぶか、独立して自分で帳簿をつけるようになって初めて学ぶという方が多いのではないかと思います。

働き方改革が進んで、フリーランスやパラレルワーカー(複業するワーカー)が増えることが予想されます。一方、クラウド会計ソフトの普及が進んで、記帳の手間は相当軽減されることも予想され、その点ではフリーランスやパラレルワーカーには追い風です。しかし、記帳そのものが無くなることはないでしょう。むしろフリーランスやパラレルワーカーが増えることは、記帳というものの重要性が増すということでもあります。学校教育にプログラミングや英語教育が導入されますが、合わせて、起業のための記帳教育もやる必要があるのではないかと考えます。

記帳にとって重要な「経費になるかどうか」は、学校時代に学んでおけば、実社会に出ても役に立ちます。経費の記録というのは売上の記録と相まって、ビジネスの記録そのものであるからです。ビジネスの記録すなわち、損益情報を見て、ビジネス上の次の一手を打ったり、税額を予想して資金の手当てを図るわけです(経費になるかどうかという問題は必ずしも税金の計算だけの問題ではありません。ビジネスの実態を表現するためのものでもあります)。

さて、経費として認められるために必要なこととは何か。とても重要なところですが、2つだけです。

1.自ら支払った(取引した)ことを示す証拠資料があること

2.証拠資料が示す取引が、事業(ビジネス)に必要不可欠であることを合理的に説明可能であること

1の証拠資料については、領収書、請求書をはじめ、納品書、注文書、契約書など、自らの取引を裏付ける書類のことです。とりわけ購入したものが分かるとともに対価を相手方に支払ったことを裏付ける領収書は重要です。領収書にかえてレシートでも大丈夫です。むしろレシートの方が購入した物が明記されているのでベターなケースもあります。

一方、領収書が無いからといって経費にするのをあきらめることもなく、購入したものが分かり、かつ対価を相手方に支払ったことを立証できる資料があれば、領収書が無くても経費にできます。インターネット通販でメールで受け取る「お買物明細書」などが該当します。

香典は、領収書をもらえるものではなく、何かを購入するというものではありませんが、会葬案内を保存することによって(金額を直接立証できないとしても)支払ったことを示す証拠資料とします。

まとめると、領収書が最も重要な証拠資料であるが、領収書が無くとも、ケースバイケースで他の資料を証拠資料にできることがある、ということです。

2の「事業に必要不可欠であることを合理的に説明可能か」というのは、売上の獲得に役立つか、又は売上の獲得を目的としたかです。経費は、売上を獲得するための投下資本だからです。

ということは、家族やプライベートでの友人との会食代は経費にできません。一般的に売上の獲得に役に立つとは言えないからです。プライベートでの旅行代も同様です。

ある取引が経費になるには、それが売上の獲得に具体的にどのように役に立つのかを、因果関係を合理的に説明できる必要があります。説明に苦しむならば、経費にするべきではないといえます。

さらには、事業の性質に応じて、売上獲得への役立ちを合理的に説明しうる場合と、し得ない場合が考えられ、ケースバイケースです。経費としたい取引と売上との因果関係を、十分に論拠立てて説明できるかどうか、検討する必要もあります。

経費の判定は、必ずしも容易ではなく、いわゆるグレーゾーンに入るものが多いといえます。証拠資料に基づいて十分な理論武装が必要です。

(本投稿の執筆時間 50分)

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