コンプライアンスについて語ります
コンプライアンス(英:compliance)とは、一般的には「(命令や指示に)従うこと」を意味し、企業の経営においては、法令や企業倫理を遵守することを意味します。
法令に従ったり倫理観をもって事業を展開するのは、企業の信頼の基礎であり、当然といえば当然なのですが、言葉にして意識を高めておかないと、ともすると誘惑にかられ、会社の資金の横領とか粉飾決算とか脱税とかに走ってしまいがちです。
コンプライアンスの声が高まってから10年以上は経過するでしょうか。最近では報道においてあまり強調されることはないようですが、企業の不祥事が後をたたない現状では、営業、製造、会計、税務その他企業活動のすべてにおいて、常にコンプライアンスを意識していかなければならないことです。
どこで聞いたのか明確に思い出せませんが、コンプライアンスは単に法令や倫理を遵守するだけではなく、社会の要請に応えることだと主張する論者がいました。社会の要請というのは社会のニーズでもあると思いますが、社会のニーズに対応できない企業活動をしてしまえば、提供する製商品やサービスが売れないので、企業は永続しないでしょう。
さらに、企業には様々な利害関係者(ステークホルダー)がいます。お客様以外にも、仕入れ先、外注先、金融機関、株主、従業員、そして企業の所在する地域の住民、国民などです。近江商人の心得としての「三方よし」すなわち「売手よし」「買手よし」「世間よし」という、一方の利害関係者にとっては良くても、他方の利害関係者には悪影響があるといった状況に陥ることなく、どの利害関係者にとってもよしとされるよう、高度のバランス感覚をもって事業を展開するのがコンプライアンスであるということです。
さて、私は、公認会計士2次試験受験生のとき、折角専門学校で一から勉強できるのだから、選択科目のひとつとして、大学では履修しなかった「民法」を選択しました。「商法」(平成11年に受験した当時の科目。現在の試験制度では「企業法」)は必修科目でした(司法試験と異なり、手形小切手法の分野からの出題はされず、会社法がメイン)。公認会計士3次試験(2002年当時)の際には租税に関する実務能力を問う試験もあり、主に法人税法、消費税法からの出題でした。
そして、税理士登録し税理士の業務も手掛けていますが、法人税の計算には法人税法、消費税の計算には消費税法、所得税の計算には所得税法、相続税と贈与税の計算には相続税法、税に関する共通の法規制としての国税通則法と、税理士の業務には税に関する法律(税法)の解釈・運用が求められます。税理士は、裁判上の訴訟代理人(これは弁護士の職務)にはなれず、訴訟代理人の「補佐人」として陳述することが出来るにすぎません。しかしそれでも、税務申告書の作成、税務相談、税務調査への対応など税務代理業務において、法的な素養が強く求められるものと捉えています。
(弁護士法では、弁護士は当然に税理士業務ができるとされています)
さらに、公認会計士としては会計基準や監査基準を遵守する必要があります。受験勉強をとおして会計基準に加え、法律を学んだことが今に生きていますが、公認会計士も税理士も高度な専門家としてのコンプライアンスが求められているのです。
最近ではe-Gov法令検索いうサイトもあり条文の検索がしやすくなりました。条文というものはプロにとっても難解さを感じることがありますが、迷ったら必ず条文に立ち返って判断しています。
(写真と本文は直接関係ありませんが、当事務所の書棚です)
(本投稿の執筆時間 60分)