会計は努力と成果の対比~費用収益対応の原則について

企業は、現金収入を得るために、「様々な支出をする」という努力をしますね。

現金収入とはまさしく売上を得ることによるものですが、そのために、

・事務所やお店、工場・工房の家賃
・電気代、ガス代、水道代
・電話代やインターネットの代金
・従業員の給料や会社が負担する社会保険料、労働保険料
・銀行から融資を受けていれば利息
・パソコンなどの事務機器、営業車、店舗のディスプレイや棚、工場であれば製造のための様々な機械類(このうちの多くは、1年を超えて企業の営業活動に使われる「固定資産」になりますが「固定資産」は機会を改めてブログに書きます)

など、現金収入を得るために様々な支出をします。

調達した現金(資金)を様々な支出にあて(投下し)、売上代金として収入を得(回収し)、調達時よりも現金を増やしていく。

企業活動は、この「投下」→「回収」→「投下」→「回収」というサイクルをくりかえすことによって、現金を増やしていく活動といえます(現金は企業活動の目的兼手段、出発点兼終着点)。

こうしてみると
「企業活動は収入と支出が対応する活動」
=「資金の投下とその回収を繰り返す活動」
なのですが、
会計というのは平たく言えば収入・支出という現金の動きに限らず、
現金を含めた財産の動きをとらえて表現していきます。

その「財産」とは、プラスの財産である「資産」とマイナスの財産である「負債」です。

先日のブログで、売上高を会計ソフトに登録(記帳)するタイミングについて、
「対価をいつ受け取るかにかかわらず、サービス(又はモノ)の提供を完了したと客観的に認められる時」と書きましたが、これはもう一つの側面からみれば「お客様が代金を負担する義務を負ったとき=お客様に代金を請求する権利を得たとき」といえます。

この、お客様に代金を請求する権利(=売掛金)は、現金になる確実性を得たという意味で、プラスの財産(資産)としての価値が実現したととらえられます。

このようなタイミングで会計ソフトに登録(記帳)する考え方を「実現主義」といいます。

一方、経費については、支出に結びつくものですが、売上と逆に考えます。売上の獲得に必要な経費となるモノを受領したりサービスを受けたりした段階で、支出の時期にかかわらず(支出がそのときか事前か将来かにかかわらず)、経費として会計ソフトに登録(記帳)します。

しかし、売上の場合と異なるのは、現金を支出するという確実性にかかわらず、モノやサービスの受け入れや消費の発生―モノやサービスの価値の使用の発生をとらえて、会計ソフトに登録(記帳)します。この「発生」のタイミングで会計ソフトに登録(記帳)する考え方を「発生主義」といいます。

まとめると、会計ソフトへの登録(記帳)のタイミングについての考え方は、

売上は「実現主義」

費用は「発生主義」

です。

そして、売上と費用が対応して、売上ー費用=利益というかたちで、受け入れた成果から払った努力を差し引いて、果実である利益を求めるのが、損益計算書の役割、となります。

これを「費用収益対応の原則」といい、会計の大原則のひとつです。

(本投稿の執筆時間 47分)

 

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