会計基準って?

公認会計士や税理士(以下、ここでは「会計事務所」と書きます)と顧問契約を締結していたり、決算書と税務申告書の作成を依頼している経営者の方は、決算書と税務申告書をどのようなプロセスで作成しているのか、度々アドバイスを受けることにより十分に理解されている方も多いと思われます。

もし、そうではない、
会計事務所に任せてはいるけれども、任せっぱなしで、
どのように決算書と申告書を作っているのかよく分からない!
なぜこの数字になるのかよく分からない!

こんなふうに感じている経営者の方は、まずは、依頼している会計事務所の公認会計士や税理士に質問し、理解できるまで聞いてみましょう。せっかく契約しているのですから、質問することによって、会計事務所から多くを学び、自社の経営に役立てましょう。

決算書は会計基準によって。税務申告書は会計基準で作成された決算書をベースに、法人税法などに基づいて税額を計算して作成されます。

そもそも、決算書の目的は、いくらもうかったか、財産の状態はどうかと、企業の経営実態を表現するところにあります。

一方、税務申告書の目的は決算書とは違い、公平に課税すること、経済政策、例えば設備投資減税など特定の政策目的を達成するところにあります。

この、決算書と税務申告書の目的の違いから、決算書の利益にそのまま税率を乗じて税額を算定せず、法人税法などに基づいて決算書の利益に調整を加え、調整後の利益額(これを課税所得といいます)に税率を乗じることになります。

さて、決算書を会計基準によって作成すると述べましたが、その会計基準には、以下の3種類があります。

1.企業会計基準
上場会社や会社法で規定する大会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上)が適用する会計基準。会計基準のなかでは最も厳密、かつ最も企業の実態を明瞭に表現する。
上場会社や大会社は通常大規模で、株主、金融機関などの債権者、取引先など、かかわる利害関係者が多数になることから、企業の実態を明瞭に表現することにより説明責任を果たす必要性がある。厳密な基準による決算書を作成するためのマンパワーも確保しやすいので、企業会計基準を適用し得るといえる。

2.中小会計指針(中小企業の会計に関する指針)
上場会社と大会社を除いた会社、すなわち中小会社(中小企業)で適用する会計基準。
企業会計基準に比べると簡略化されているが、適用するにはある程度の専門性が要求され、会社法に規定する会計参与(取締役と共同して決算書を作成する役職であり、税理士など専門性の高い者が就任することが想定される)が就任している会社において適用することが適当であるとされている。

3.中小会計要領(中小企業の会計に関する基本要領)
中小会計指針よりも一層簡略化された会計基準。会計に充てられるマンパワーを確保しにくい中小企業の実態に即して、事務処理の簡略化を図りながら、多くの中小企業で必要とされる会計処理に絞った会計基準である。多くの中小企業が利用している。

上場会社や大会社に比べると利害関係者は少ないものの、中小会社も、自社の経営に役立てること、また融資を受けている金融機関への説明に役立てるため、中小会計指針や中小会計要領の利用をおすすめするところです。

(本投稿の執筆時間 50分)

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